部下を率いるリーダー


『先ず隗より始めよ』という言葉を聞いたことはないですか?

この言葉は、燕(エン)という国の王様が父親のせいでボロボロになった国を立て直す際に、
部下の郭隗(カクカイ)からもらったアドバイスに由来します。

『国の根本は人です。
 まず人材を大切にするということをアピールしましょう。

 その手始めに私(郭隗)程度の者を大切にしていることをアピールすれば、
 私以上の能力の者が集まってくるでしょう。』

郭開(カクカイ)の言葉に納得した王様は、
有能な人材を集め、領土を拡大できた名君だったのですが、
問題はこの親父さんです。。

苦労知らずの世間知らずで、ただ人が良いだけの王様でした。

さて、そんな王様には腹心として、首相の子之(シシ)がいました。
政治は彼に丸投げです。

子之(シシ)は隣の斉という強国に買収され、
燕(エン)国の乗っ取りを謀ります。

まず、部下に次のように進言させます。

『大昔の堯(ギョウ)という君主が賢明として讃えられているのは、
 自らの国権を譲ろうとしたからです。
 それにならえば、王様も賢明として讃えられるでしょう』

こうして、子之は国権を譲り受けました。

さらに、次の手をうち、再度進言させます。

『大昔の禹(ウ)という君主は、益(エキ)に国権は譲ったが、
 実際の権力は握り続けたことで、非難を浴びました。
 王様も子之に国権を譲ったとはいえ、
 実際のところ、皇太子や王族には権力が強く残っております。
 これらを全て子之(シシ)に譲らないと後世に非難されることでしょう。』

こうして、燕(エン)国王は子之(シシ)の部下の地位になりましたが、
王族派と子之派の争いが始まり、やがて政治は乱れて内戦状態になります。

そのスキを突いて、斉に攻撃され、
燕(エン)国王と子之(シシ)はともに殺され、
燕(エン)国は斉の属国となりました。

部下は優秀な人材を集めるべきです。

そして、部下の意見もよく聞き、
一人よがりにならないことが大事です。

しかし、決定するのは『社長』の仕事です。

会社の操縦席から離脱するのは、
『社長』の仕事を放棄するのと同じです。

そして、操縦席に座るのはたった1人です。
握るハンドルの後ろで様々な意見が出ます。

それらを考慮しながら、先を見据えて、
燃料と天候のバランスを考えながらハンドル操作を行うという大変な仕事が
『社長業』なのです。

部下にその大変さの理解を求めるのはそもそも無理です。

だから、社長は孤独なのです。
だから、アドバイスは嬉しいのです。

しかし、そのアドバイスを受け入れるかどうかは、
社長の『責任』で『決定』しないといけません。

部下を頼りにしても、部下に依存してはいけません。

それの意識が、皆さんの事業を成長させる鍵となるでしょう。


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[まとめ] 良い人材になるかどうかは社長の舵取り次第。
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