ウェブ解析を学べば売上は上がりますか?のワナ

ウェブ解析を学べば売上は上がりますか?のワナ

ウェブ解析士やGoogleアナリティクスのセミナーで、時々聞かれる質問があります。

それは、

『ウェブ解析を学べば売上は上がりますか?』

です。

結論から言えば、

『上がることもあるし、上がらないこともある。』

が正解です。

そもそも、この質問には論理の飛躍があるため、回答が難しいのです。

原点に立ち返って考えてみましょう。

『解析』とは何でしょうか?

もう一度、この点を考え直してみたいと思います。

『解析』は『与えられた情報(インフォメーション)を意思決定できる情報(インテリジェンス)に高める行動』と私は定義しております。

つまり、解析を行った結果得られるものは、意思決定できる情報(インテリジェンス)に過ぎません。

例を挙げましょう。

皆さんは『降水確率40%』の時、傘を持って行きますか?

傘を持っていく人は『なぜ持っていくのでしょうか?』

また、持っていかない人は『なぜ持っていかないのでしょうか?』

それぞれの考えは、

傘を持っていく人は、
『降水確率40%ということは、雨が降るかも知れないので、念のため持っていこうと決めた』

傘を持っていかなかった人は、
『降水確率40%ということは、雨が降る確率の方が低いので、荷物を増やすのが嫌なので持っていかないと決めた』

どちらが正しいのでしょうか?

正解は、『どちらも正しい』のです。

大切なことは、『降水確率40%』が意思決定の材料として使われた、
つまり、意思決定できる情報(インテリジェンス)となったという点です。

しかし、意思決定できる情報(インテリジェンス)が1つであったとしても、
そこから導き出される行動は無数にあります。

その意思決定できる情報(インテリジェンス)を
どのように解釈してどのように行動するかは、その人次第なのです。

そのため、解析を学ぶ=売上が上がる、となるとは限らないのです。

解析を学ぶ⇒解析を行う⇒意思決定を行う⇒意思決定に基づいて行動する⇒プラスかマイナスの結果が出る⇒解析を行う⇒意思決定を行う⇒意思決定に基づいて行動する⇒プラスかマイナスの結果が出る・・・・

この繰り返しの中で成果につながるかどうかが決まるのです。

解析は必要か?

しかし、そもそも与えられた情報(インフォメーション)が少なすぎる場合、もしくは与えられた情報(インフォメーション)の正確性が低い場合、意思決定できる情報(インテリジェンス)が得られない、もしくは意思決定できる情報(インテリジェンス)の精度が低くなることが多々あります。

そういった問題があるのが、中小零細企業や、開業直後の会社やネットショップ、
もしくは、顧客目線を忘れて、自分の発信したい情報しか書いていないウェブサイトです。

このようなウェブサイトの場合、大切なことは解析ではなく、
顧客中心のウェブ全体戦略です。

大多数のウェブサイトは、この顧客中心のウェブ全体戦略が不十分なため、ぶっちゃけ解析なんてしなくて良いです。

それよりも、誰に対してどんな情報を提供し、どういうサービスに結び付けるのかという、顧客の悩みの洗い出しと、その悩みをお金に結びつけるビジネスモデルの構築が大切です。

しかし、逆に与えられた情報(インフォメーション)が正確で十分にある場合、解析の重要度は一気に上がります。

なぜなら、解析によりユーザーの悩みや意図が判別できるようになるためです。

しかし、ここでまた問題が発生します。

『解析もどき』の弊害です。

解析もどき

解析とは、『与えられた情報(インフォメーション)を意思決定できる情報(インテリジェンス)に高める行動』と定義しましたが、解析を仕事としている会社の大半は、ただ『与えられた情報(インフォメーション)を見やすく整理するだけの行動』を解析だと思いこんでいます。

また、自分の欲しい情報を抽出できるようになること=解析ができる、と思い込んでいる人が多いという点が重大に問題です。

私も経験があるのですが、ウェブ解析後にレポートを作成し、提出すると、以下のように言われることがあります。

『この程度のデータなら私でも出すことができるので、お金のムダだ』

その人はまさに、自分の欲しい情報を抽出できるようになること=解析ができる、と思い込んでいる証拠です。

大切なことは、そのデータで意思決定を行っても大丈夫かという統計の知識をベースに意思決定に必要なデータがどれなのかを精査した上でのデータを抽出し、次の行動を提案することです。

単に、仕上がったレポートを見て、データを抽出することなど、ちょっとGoogleアナリティクスなどのアクセス解析ツールを学んだ人であれば、そこそこできます。

また、次の行動の提案には、妄想力が欠かせません。
※一般的には『仮説』と言われますが、私は分かりやすく説明するため『妄想』と言っております。

そのデータからユーザーの行動がどれだけイメージできるか、です。

数年前に勝間和代さんの講演会を聞く機会があり、そこで世界最高と名高いマッキンゼーの新卒の最終面接について聞いたのが衝撃的でした。

マッキンゼーの新卒の最終面接では、架空の会社の情報をA41枚サイズで与えられ、

『あなたならその会社をどのように立て直すか』と問われるそうです。

マッキンゼーは、一定の学歴以上でないとそもそも書類選考が通過できないぐらいハードルが高く、
その中でも最終面接にまで残る学生です。

さらさらと立て直し方を回答するそうです。

しかし、その直後に面接官がフルボッコに論破されるそうです(笑)

そしてもう一度、提案を促されて、再度回答すると、またフルボッコに論破されます(笑)

これをひたすら繰り返すのだそうです。

これはただの面接官のストレス発散ではありません(笑)

コンサルに欠かせない能力の1つに、

『与えられた情報を元にあきらめること無く、いかに多くのイメージを広げられるか』

を確認しているそうです。

コンサルはイメージを諦めた時点で、ゲームオーバーなのです。

解析とは

つまり、解析とは、
『与えられた情報(インフォメーション)を意思決定できる情報(インテリジェンス)に高める行動』に過ぎないのですが、
そのためには、

『情報を抽出する技術』
『必要十分な情報(インフォメーション)量』
『与えられた情報(インフォメーション)を意思決定に使ってよいのかどうかという統計上の知識』
『与えられた情報(インフォメーション)を意思決定できる情報(インテリジェンス)に変える能力』

の4つが必要で、
さらに

『あきらめず意思決定し続けられる妄想力』
『結果に結びつけるための行動力』

の2つが合わさって初めて『成果につながる』と言えます。

どれか1つが欠けても成果には繋がりません。

そのため、
解析を学べば売上が上がるというのは論理の飛躍があり、
解析は不要というのはあまりにも了見が狭い誇張した意見ですし、
解析を1~2日学べばマスターできるほど浅いものでもありません。

解析を身につけたければ、
解析を学び、正しく考え実践し、それを繰り返すことが欠かせません。

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