高校受験塾に迫る2029年問題

引用:政府統計総合窓口

高校受験塾に迫る2029年問題を聞いたことはありませんか?

上のグラフを見てください。
前年比の出生数の減少率を1990年以後、グラフで表したものです。
赤枠を見ると分かりますが、2016年以後の出生数の減少率が高い水準維持しています。

2023年の出生数は約72.7万人
2015年の出生数は約100.5万人
たった8年で約28万人も減少しています。

ちなみに、
1989年の出生数は124.6万人
つまり約25万人減少するのに26年かかったことが、
たった8年でそれ以上に減少しています。

つまり2016年から子どもの出生数の急減が始まっているということです。
2016年生まれというと中学1年生(13歳)になるのが2029年です。

高校受験塾の最年少は中学1年なので、
2029年以後、年率3-5%の割合で生徒数が減少していくという恐ろしい未来が待っています。

今年が2024年ですので、残り5年しかありません。
今からできる集客対策を検討し、こうすれば集客できる!という確固たるマーケティングを確立していないと高校受験塾は淘汰されてしまいます。

そうは言っても・・

チラシの反響が悪くて生徒が思ったほど集まらない・・・

Web広告に予算をかけても思うように成果が出ない・・・

高校受験に特化した進学塾を運営する中で、こうした悩みを抱える方からの相談は尽きません。
今や高校の進学率は全国平均98.9%、最も高校進学率が低い沖縄でも97.7%とほぼ100%近い進学率です。
そのため、高校受験塾には競合塾が非常に多く、経営上の差別化や効果的な集客戦略が不可欠です。
しかし、「何をすれば生徒が集まるのか」がわからず手探りで行っている塾が大半です。

そこで、本記事では、高校受験塾の集客の課題を深掘りしつつ、すぐに実践できる具体的な方法を解説します。
これらの手法をうまく活用すれば、安定的な生徒数の増加と地域での評判がアップして長く信頼される高校受験塾となれます。

高校受験塾の集客が難しい理由とは?

進学塾業界を取り巻く環境は、ここ数年で大きく変わりました。具体的な原因を以下に整理します。

  1. 少子化による競争激化
    すでに書いた通り、日本の出生数は1973年の209万人から2016年には100万人の大台を下回りました。
    さらに、2023年の出生数は73万人と世界でも例を見ないスピードで少子化が加速しています。、
    そのため、そもそも高校受験を受ける中学生の母数が減少しています。
    そんな中、同じ地域内で生き残りをかけた塾同士の競争が激しくなっており、従来、うまく行っていた方法を続けるだけでは中学生の集客は非常に難しくなっています。
  2. オンライン学習サービスの台頭
    コロナ禍が始まった2020年以後、オンラインで授業を受けられるオンライン学習塾が激増しています。
    また、中でも株式会社リクルートが展開しているスタディサプリというオンライン学習プラットフォームはコスト面での優位性が非常に高く、質の良い授業を安価に受講したいという保護者にとって非常に評価が高く、使用される数は増えています。
  3. 保護者の意識変化
    以前は「良い塾=合格実績」という単純な選び方をする保護者が多かったのですが、最近では「塾の雰囲気」や「子どもが楽しく通える環境」「子どもの個性を尊重してくれる塾」など、合格実績以外の個性が重視される傾向にあります。
    そのため、画一的に講義をして質問を受けるという昔からありふれた塾の場合、塾を選ぶ際の選択肢から外される可能性が高くなっています。

高校受験塾の集客成功のカギはターゲットを絞ること

高校受験塾のターゲットって、高校受験を希望する中学生じゃないの?


こういった認識はまだまだ浅いです。
高校を受験する中学生と一言でまとめるのではなく、
より詳しく分けて考えることです。
例)学校の勉強は問題ないのでより難易度の高い高校を受験したい中学生
  学校の勉強についていくのが大変でまずは定期テストでしっかり点数を取りたい中学生
  苦手な特定の科目だけ教わりたい中学生
  クラブと受験勉強を両立させるために自宅学習を優先した中学生
このように高校受験を目指す中学生もより細かく分類して考えます。
そのうえで、保護者と生徒に分けたアプローチが必要になります。

保護者に向けたアプローチ

高校受験を控える中学生の保護者が求めているのは、志望する高校の合格です。
ただ、当然のことながら受験は中学3年生の冬です。

その1回のイベントまで保護者に対して何もアプローチしなければ、
保護者としては
「ちゃんと成績は志望校に近づいているのか?」
「塾での様子はどうなのか?」
このように不安になります。

そのため、「日々の学習効果の見える化」と「合格までの距離」を伝える必要があります。
過去の合格実績だけでなく、
・塾生がこれまでのテストと比較して何点伸びたのか
・合格にどのぐらい近づいているのか
・日々の塾での様子はどうなのか
こういった情報を数値をデータ化したものと文章でこまめにお届けすることで、安心感を与えることができます。
できれば親御さんと塾の直通ラインを設けておくとより良いでしょう。

例えば、今ならLINE公式アカウントやアプリなどを活用して、週1回以上、じょうほうをお届けすると親御さんの不安は解消されてクレームなどが入ることが少なくなります。

さらに、保護者が直接、塾の様子を体験できる仕組みを取り入れるのも効果的です。

    • 生徒だけでなく保護者も参加した高校受験の説明会
    • 教室の後ろで授業の無料見学会

    こういった対応を定期的に行い、塾の責任者の顔を見せ、塾内の様子をクリアにすることにより、塾の信頼度を高めることが可能です。

    生徒へのアプローチ

    中学生にとって塾選びは、「楽しく、そして成績が上がる」というイメージが大切です。
    保護者に比べて、友だちからのクチコミやSNSや動画コンテンツに触れる時間が多いので、InstagramやTikTokでのリアルな情報発信が有効です。

      • 科目ごとの勉強法を紹介するYoutubeのショート動画
      • 卒業生の合格体験をインタビュー形式でInstagramで配信
      • すでに通っている塾生から紹介を受けやすくする仕組みをLINEで構築

      これらを用いて「成績が上がるだけでなく、友だちが通っているので安心して通えそうな親しみやすい塾」という印象をもってもらいやすくなります。

      高校受験塾が絶対に行うべき集客方法7選

      塾に興味を持って関心を高めてもらうSNS運用

      SNSは今や高校受験塾には欠かせないツールです。
      塾内の様子や、合格実績、学習方法などSNSを見に来ると想定される保護者と中学生にとって楽しく役立つ情報を発信することが重要です。
      よくやってしまいがちなのは、春期講習、夏期講習、冬期講習などの案内や体験授業などの営業の投稿ばかりをおこなってしまうことです。
      あなたもぜひ考えてみてください。
      営業めいた情報ばかり発信するアカウントをフォローしたいと思いますか?
      毎日、毎週に見に行こうと思いますか?
      思わないですよね。
      SNSは販売ツールではなく、見込み顧客にとって
      繋がっていると楽しい
      情報を見るとためになる
      そのような「ターゲットに刺さる内容」を計画的に発信することが非常に重要です。

      具体例

      • Instagramでは、志望校合格者の勉強法のインタビュー動画を投稿。
      • Twitterでは、季節ごとに取り組むべき役立つ勉強の一言アドバイスや模試情報を定期発信。
      • TikTokでは、講師が授業内容を簡単に解説するショート動画を配信。
        「勉強のヒントがもらえる塾なんだ」と思わせることで、自然と認知度が広がります。

      紹介する側、紹介される側もお得になる友だち紹介

      信頼している友人からの紹介はなによりも強力な集客になります。
      そのため、紹介を増やす仕組みづくりはかかせません。

      しかし、紹介する側だけが得をする仕組みだと、紹介された側は、

      あなたが得をするから誘ったんだよね?

      と疑心暗鬼になります。
      そのため、紹介する側、紹介される側にとってもお得になるような仕組みを作る必要があります。
      例えば、商品券の配布や授業料のディスカウントなど。
      そのうえで、口コミで紹介を増やすためには、生徒一人ひとりに真摯に向き合い、信頼関係を構築しておくことが大前提です。

      日々の生徒とのコミュニケーション、生徒の成績の向上の上に信頼関係ができあがります。
      そのため、信頼性が高く、広告費もかからない友だち紹介という口コミでの集客を増やしたい場合には、日々の行動を見直しましょう。

      具体例

      • 紹介制度を導入し、紹介者と紹介された新規生徒に割引や特典を提供。
      • 保護者向けの懇談会を開催し、満足度の高い体験を提供。
        「友達から聞いて気になった」といった生徒が増える仕組みを作りましょう。

      無料体験授業から本申込への誘導のマニュアル化

      無料体験はどこの塾でもやっていますが、問題は無料体験前後の対応が甘い塾が多いという点です。
      無料体験は、料理に例えるなら「試食」にあたります。
      この際、料理の美味しさだけでなく、その後の本商品をミスせず適切に誘導することで売上が上がります。
      塾の無料体験では、大切なお子さんを預ける場ですのでより一層注意しないといけません。
      無料体験の申し込みがあった際の、
      ・電話での言葉遣いやメールでの文面
      ・無料体験授業の前日のリマインダーメール
      ・無料体験授業の当日の教室の清潔さ、自己紹介、教室案内
      ・無料体験授業の後の授業やクラスの案内
      ・無料体験授業の後日の再確認
      こういった細かな対応を1つのミスもなく丁寧に対応することで「この塾なら安心」と感じて頂き、無料体験から本申込に繋げられます。

      塾の社員、アルバイト講師にかかわらず、誰が担当しても同じ対応をできるようにキッチリとマニュアル化して教育しておきましょう。

      実践例

        • 初回体験を通して成績アップの可能性を感じさせる。
        • 1週間の体験コースを提供し、保護者に経過報告を行う。
          「子どものやる気が出た」「授業が楽しいと話していた」というフィードバックを引き出す。

        地域ごとの特徴を活かしたイベント開催

        中学校では学校ごとに使用する教科書、定期テストの時期が異なります。
        また、内申点の付け方なども微妙に学校によって違いがあります。
        そういった地域特有のニーズを分かりやすく伝えるイベントを実施することは地域密着型の塾にとって、絶対に必須です。
        高校受験塾は、一部の難関私立高校を除いて、公立高校などは学校のことをより細かく詳しく把握していることが他塾との差別化に繋がります。

        具体例

          • 地元中学校の進学傾向を解説するセミナー。
          • 過去問対策講座を無料で提供し、塾の魅力をPR。
            「地元の進学情報に詳しい塾」と認識されることで信頼を得られます。

          ターゲットにアプローチできるWeb広告

          Web広告は、非常に細かなターゲティングを行うことができます。
          難関私立高校を目指している中学生の保護者
          個性を尊重する塾を探している保護者
          会社を経営している保護者
          など、さまざまな保護者にリーチするのに効率的な方法です。
          そのうえで、Webサイトの特定の講座を見た人にその講座を繰り返し表示される広告を使えば、無意識のうちに自塾の講座を認知させることができます。
          今の時代、Web広告を活用しない集客はありえませんので、ぜひ慣れておきましょう。


          効果的な手法の例

            • Google広告で「地域名+高校受験」のキーワードをターゲティング。
            • Meta広告で塾の実績や無料体験を訴求。
              「検索結果に塾名が表示されると安心感がある」といった声を目指しましょう。

            自塾のコンセプトや実績を分かりやすく伝えるWebサイト

            Webサイトでは、合格実績に強みがあるならその点を強調するのは行うべきです。
            しかし、それ以外にもどういった生徒を伸ばしたいのか、なぜ高校受験塾を続けているのか、過去にどういった生徒がどのように合格をつかんだのか、そういった塾のコンセプトと合わせて、塾の特長を見やすい形で掲載することで、保護者や中学生は興味を持ってくれます。
            その際、パソコン用のWebサイトだけでなく、スマホ用のWebサイトも必ず準備しましょう。
            高校受験塾の具体的なWebサイト戦略はまた別の機会にかきたいと思います。

            実践方法の例

              • 合格実績をグラフ化してWebサイトに掲載。
              • 「過去3年間の平均成績向上率」などのデータを公開。
                「成果が数字で見えると安心」と感じる保護者が多いので、ぜひ取り入れましょう。

              塾生の保護者や塾を探している保護者との連絡ツールとしてのLINE公式アカウント

              高校受験塾ならLINE公式アカウントでの情報発信は必須です。
              2024年現在、日本国内でのLINEユーザーは9000万人を超えている日本最大のメッセージングツールです。
              そのため、保護者も中学生も多くが利用しているため、塾の情報を発信して正確に届けるのに最適です。

              わざわざ塾独自のオリジナルのアプリ開発に予算をかけるぐらいならLINE公式アカウントを活用する方が非常に効率的です。
              この高校受験塾用のLINE公式アカウント活用法も別で記事を書きたいと思います。


              活用例

                • 個別授業の予約受付や問い合わせをLINEで対応。
                • 月次の学習進捗を通知し、保護者との信頼を深める。
                  差別化ポイントの作り方
                  競合塾との差別化を図るには、自塾ならではの「強み」を作ることが欠かせません。
                  具体例
                • 「1日30分で成績アップ!」といった独自の学習法を開発。
                • 地域での進路指導に特化し、「進学のプロ」を強調。

                まとめと次のアクション

                いかがでしたでしょうか。
                この記事では、高校受験塾が生徒を集めて経営を安定させるための具体的な方法を詳しく解説しました。
                ポイントは、まずは塾としてターゲットを決めること。
                そして、塾のコンセプトを固めること。
                そのうえで、ターゲットとなる保護者と生徒のニーズを理解し、それに応える形で情報発信を行うことで集客マーケティングを実施していくことです。
                まずは、紹介した7つの方法の中から1つを選び、徹底的に実行してみてください。
                1つ成功した実感がつかめれば、さらに次の施策を伸ばしていきましょう。

                それが、2029年問題を生き伸びて存続していく塾への第一歩です。
                「まずは行動」を合言葉に、今日から実践を始めてみてください。