偏差値50と聞いてどんなイメージを持ちますか?
ちょうど平均くらいの成績じゃないんですか?
と思っている方も多いでしょう。
しかし実際には、偏差値50の意味は
中学受験、高校受験、大学受験でまったく異なります。
本当の偏差値50ってどのくらいのレベル?
偏差値50ぐらいなんだけどそこから成績を上げるにはどうすればいい?
と悩む方に向けて、偏差値50の意味から成績の上げ方までを詳しく解説します。
進路選びや成績向上のヒントに役立ててもらえれば幸いです。
1. 偏差値50とは?基本の仕組みと計算方法
偏差値とは、全体の中で自分がどの位置にいるのかを示す指標です。偏差値50は「ちょうど真ん中」を意味します。計算方法は以下のとおりです:
(自分の得点−平均点)÷標準偏差×10+50
\(\frac{{\text{(自分の得点 – 平均点)}}}{{\text{標準偏差}}} \times 10 + 50\)
「標準偏差」とは、得点が平均からどれくらい離れているかを表す値です。
偏差値は、50から標準偏差を足したり、引いたりしたものです。
※平均より得点が高かったら標準偏差を『足す』
平均より得点が低かったら標準偏差を『引く』
余談ですが、標準偏差に上限はありませんので、
偏差値100なんてのもありえます。
この仕組みを理解することで、「偏差値50」が成績分布の中でどのような位置にあるかがイメージしやすくなります。
偏差値50が平均といわれる理由
偏差値50は統計的に、得点分布の中央に位置します。
言い換えれば、全受験生の約半数が偏差値50以上、残り半数が50未満となります。
ポイントは『全受験生』の数字を元にしているという点であり、
受験していない人は含まれないという点です。
これの意味するところは後ほどしっかり説明します。
偏差値50の一般的なイメージ
偏差値50の生徒は、ちょうど平均的な位置にいるので、イメージとしては色々あると思います。
基本的な学力がしっかりしているけど、トップ校を目指すにはかなり足りないから、まだまだ努力が必要かな~。
すごく勉強してるのに偏差値50って私は勉強の才能ないんじゃないかな
このようなイメージをもっている人が多いのではないでしょうか?
でも、実は一口に偏差値50と言っても、中学受験・高校受験・大学受験で、その意味合いは大きく異なります。
まずはその点を理解しないと、誤った解釈で自信を無くしたり、子どもを傷つけてしまうことになります。
2. 中学受験・高校受験・大学受験で偏差値50の意味はどう変わる?
中学受験の場合の偏差値50
中学受験における偏差値50の学校は、高校受験の偏差値63-66に匹敵します。
こちらを見てください。
引用:2024年私立・国立中学受験者数は52,400名と微減ながら受験率は過去最高の18.12%に!《首都圏》
首都圏模試センターによると首都圏の中学受験率は18.12%です。
基本的に中学受験する子は小学6年生の成績が良い上位層です。
その上位18%の中間に位置する上位9%が偏差値50ラインになります。
つまり、これは全小学生で計算し直すと偏差値63に該当します。
引用:【中学受験・関西】25年入試は「受験率過去最高」更新も!大阪桐蔭、高槻、箕面自由、親和…台風の目となる注目校は?
また、ダイヤモンドオンラインによると関西圏の中学受験率は10.2%です。
その上位10%の中間に位置する上位5%が偏差値50ラインになります。
つまり、これは全小学生で計算し直すと偏差値66に該当します。
だから、偏差値50は平均どころか、非常に優秀な数値であり、この次に説明します高校受験や大学受験の偏差値50とは全く別物のだという認識を持ってください。
だから、偏差値50の中学校は平均的な中学校ではなく、上位10%しか入学できない非常に優秀な中学校ということになります。
高校受験の場合の偏差値50
高校受験では、偏差値50はまさに平均的な数値です。
高校の進学率は98%と、ほぼ100%と考えられる割合です。
そのため、偏差値50は中学3年生の平均値とほぼ同値であるとみなして良いでしょう。
高校受験する兄(偏差値60)が中学受験する弟(偏差値50)にもっと勉強がんばれ!
と上から目線で言ってくるのがウザいと相談に来た生徒がいましたが、
実は、実質的には弟の方が上位層にいることになります。
以上から偏差値50の高校とは、「地域で平均的な公立校」や「進学と就職が均等にいるぐらいの高校」という傾向にあります。
大学受験の場合の偏差値50
大学受験の偏差値50は上位30%の位置にいるので全高校3年生の中で計算すると偏差値57に位置するので上位層であることは間違いありません。
引用:文部科学省 令和5年度学校基本統計(学校基本調査の結果)確定値
しかし、大学受験では、偏差値50ではいわゆる有名大学群であるGMARCHや関関同立からもまだまだ遠く、日東駒専や産近甲龍にも届きません。
もし大学卒業後に上場企業に就職したいとなると、かなり努力する必要があります。
このように偏差値50と言っても中学受験、高校受験、大学受験で想像している数値と大きく異なります。
しかし、受験は常に偏差値50ラインをベースとして問題が作られているため、基礎、応用、発展の捉え方は同じなんです。
そのため、偏差値50からさらに成績アップを狙う際の対策も似ています。
3. 基礎力があると評価できる偏差値50の進路選びへの影響
偏差値50は、一言で表すなら『ある程度の基礎力が身についている状態』です。
この状態でも受験できる学校はたくさんあります。
特に中学受験や高校受験では、受験生全体の中間層に位置するため、進路の選択肢が豊富です。
一方で、
偏差値50だと有名校にはまだまだ遠い
という悩みも生まれがちです。
「志望校合格」や「その先のキャリア」を考えた場合、偏差値をさらに伸ばすための計画が必要です。
4. 偏差値50から成績を上げるためのポイント
偏差値50の学習法の前提
偏差値50の生徒は学習習慣の定着と基礎知識の正確な理解と記憶がポイントです。
・1日に学習する時間を決めて習慣化する
・丸暗記ではなく正確な理解
・アウトプットよりもインプット重視
・教材は1科目1冊に厳選し徹底的に繰り返す
偏差値50の生徒が成績を伸ばすためには、基礎をしっかり理解できる教材、解説が分かりやすい教材を選ぶことが重要です。
このレベルは『なんとなく理解できた』で止まってしまっている生徒が多いのが特徴です。
そのため、説明が分かりやすく、学ぶのにストレスのかからない一流講師のオンライン授業をしっかり受講して理解度を深めましょう。
●スタディサプリ https://studysapuri.jp/
●すらら https://surala.jp/
偏差値50の学習計画の立て方と学習法
毎日の学習する時刻を一定にして学習習慣を身につける
例えば、
平日は午後7時から2時間
休日は午前9時から3時間
この時間は必ず学習するというの学習時間を確保することで、安定した学習習慣を築くことができます。
実は、この学習習慣こそ、成績アップの絶対の土台になります。
短期目標を設定し確実に潰していく
具体的には、下記のように明確な短期目標を設定して何をするかをハッキリわかるレベルまで落としこみ、1つずつこなしていきます。
2週間で数学の教科書に掲載されている基本問題を全て解けるようにする
1ヶ月以内に英単語の必修部分300個を日本語訳を覚える
このような小さな分かりやすい目標を立てると、
今日はなんの科目を勉強しようかな?
という迷いがなくなるでスムーズに勉強に打ち込めます。
教材は1科目1冊に厳選し徹底的に繰り返す
あれやこれやとたくさんの教材に手を出してはいけません。
偏差値50の生徒が学力を向上させるためには、基礎力を徹底的に固めることが重要です。
なんとなく理解しているつもりになっているけどいまいち成績が上がらないという科目の基本問題を集中的に復習することで、理解度を高めましょう。
そのためには、基礎的な問題集1冊買って、徹底的に繰り返しましょう。
基礎的な問題集は、解説がしっかりしていることが多いので、解きながら分からなければすぐに解説を見て、解法を理解してそのまま覚えます。
基本情報がどのような形で問題に問われるのか確認しながら繰り返すことが目的です。
また、小テスト形式で自分を試すことも効果的です。
たとえば、英単語や公式を暗記する際に、家庭で小テストを実施する習慣を取り入れると、暗記した内容の定着率が向上します。週末に家族が簡単な問題を出題することで、勉強の成果を確認しやすくなり、モチベーション維持にもつながります。
学習環境の改善
学習環境の改善も忘れてはなりません。
集中できる場所や適切な教材を準備しましょう。
静かな勉強部屋でも良いですが、リビングのテーブルでもOKです。
周囲の騒音の有る無しではなく、他に気が散るようなものを減らす工夫をすることで学習の質が向上します。
端的に言えば、以下のようなものを遠ざけて、適度に監視環境がある方が良いでしょう。
・スマホ、タブレット
・Youtube
・テレビ
・漫画
・ゲーム
平均的なレベルの模試を3ヶ月に1回受ける
全国統一小学生テスト(四谷大塚主催)
※6月と11月の年2回のみ
五ツ木の模擬テスト(五ツ木書房主催)
進研模試(ベネッセ主催)
このあたりが受験者数が多く、平均的な問題をバランスよく出題しているので偏差値50の生徒が受験するにはピッタリです。
逆に、難易度の高い模試は受ける必要はありません。
レベルが高すぎるため、基礎を身につけただけでは到底太刀打ちできないため、基礎力の確認には向いていません。
平均的な模試の結果を基に、基礎が身についていない科目や単元を見極め、次の学習計画に反映させます。
このような学習法を実践することで、偏差値50の生徒が偏差値55や60を目指すための土台が整います。
実際に、毎日少しずつ計画的に勉強を続けた生徒が、3か月後に成績を大幅に伸ばした事例もあります。
特に、達成感を得られる小さな成功体験を積み重ねることが、次のモチベーションにつながります。
モチベーション維持のコツ
・「次は偏差値55を目指す!」など、小さな目標を設定する。
・家族や先生と進捗を共有し、励まし合う環境をつくる。
モチベーションを保つためには、小さな目標を設定することが大切です。
「次は偏差値55を目指す!」など現実的に可能な範囲で頑張れば手の届く目標を立てることで、モチベーションを保ちやすくなり、具体的な行動計画が立てやすくなります。
また、家族や先生など成績アップを応援してくれる信頼できる人と進捗を共有することも自分への良い意味の縛りとなり励みになります。
たとえば、模試の結果だけでなく、勉強が進んでいることをを家族に報告し、褒められることで次の学習への意欲が高まる生徒も多いです。
このように、周囲と成果を共有することで孤独感を減らすことで学習意欲を維持できます。
大人でも褒められれば気分が良いものですので、子どもならなおさら褒めて伸ばしましょう。
6. 家庭でできる偏差値50の子どもへのサポート
具体的な支援方法1. 学習計画をサポート: 過度に干渉せず、子どもの進捗を確認する。
過度に干渉せず、子どもの進捗を確認しながら学習計画をサポートすることが重要です。たとえば、毎週末に「今週の目標はどのくらい達成できた?」と問いかけ、子ども自身に振り返らせる時間を設けると、主体性を育むことができます。
具体的な支援方法2. メンタルケア: 勉強が行き詰まったとき、「休む勇気」を与える。
勉強はメリハリが大切です。
ダラダラ学習は時間の無駄です。
親としては勉強机に向かっている時間が長ければ長いほど好ましいと考える人がいますが、完全に間違っています。
これまで1000人以上の子どもを見てきた経験で言えば、机に向かう時間が長いほど、集中力が途切れて漫画を読んだり、寝たりしていることが多々あります。
だから、定期的に休ませるようにしてください。
ある高校生は、親の「一旦リフレッシュしよう」の言葉のお陰で、気持ちが切り替わり、休憩後の学習に集中力を取り戻せたという事例がよくあります。
このように、適切なタイミングで休息を促すことで、学習効率が向上します。
具体的な支援方法3. 目標設定の補助: 志望校や成績目標を一緒に考え、具体化する。
たとえば、「次の模試で数学を20点アップさせるには、毎日1題の演習問題を解こう」といった短期目標を設定して、チェックするところまでを見てあげることで、行動に移しやすくなります。
もし、親御さんが子どものスケジューリングや目標設定が難しければ、塾や予備校に相談する方が良いでしょう。
偏差値50の子を持つ親御さんからよく頂く質問と回答
Q1: 偏差値50からどのくらいの努力で60に上がりますか?
A: 学習の質と量を確保すれば、偏差値50から60は比較的スムーズに上がります。
1日3〜4時間の計画的な勉強を6か月程度続けることで達成する例が多いです。
ただし、時期にもよります。
受験期は夏以降になれば、、理解度や問題集で解ける問題が増えても、偏差値は上がりにくくなります。
なぜなら、誰もが勉強を始めるためです。
そのため、偏差値を大幅にアップさせたいなら、実は夏までが勝負です。
Q2: 偏差値50でも志望校を選ぶときの注意点は?
A:4-6月の時点で偏差値50ならプラス5~10上の学校を目指す
9月の時点で偏差値50ならプラス3~5上の学校を目指す
12月の時点で偏差値50なら偏差値50前後の学校を目指す
現在の偏差値だけを基準にするのでなく、どのぐらい成績が伸びるのかという点も考慮して決めないと、可能性を潰すことになります。
そのためには生徒がどのぐらい本気で志望校に合格したいか、その本気度を重視してください。
勘違いしてない?偏差値50は中学受験、高校受験、大学受験でぜんぜん違う!:まとめ
偏差値50は一見「普通」に見えますが、進路や受験戦略を考える上で多くの可能性を秘めています。
「偏差値50がどのくらいのレベルか」を理解し、成績向上のための具体的な対策を取ることで、子どもたちの未来をより良い方向に導けるでしょう。
「まずは偏差値50から一歩前進!」を目指して、家庭や学校で本気でレベルアップ目指してがんばってみてください。