
「ChatGPT」や「Cursor」といったAIツールの進化により、まるで魔法のようにホームページが作れる時代が来たと感じていませんか? 確かにAIは、ホームページ制作の可能性を大きく広げています。しかし、「AIに指示するだけで、誰でも簡単にホームページが作れる」というのは、残念ながら幻想です。
コスト削減や制作スピードの向上に期待する経営者の皆様にとって、AIは魅力的な選択肢に見えるかもしれません。しかし、安易に飛びつくと、後々大きな後悔を招く可能性があります。
この記事では、Web制作のプロとして、AIを使ったホームページ制作の裏側に潜むリスクや、見落としがちな注意点を徹底解説します。
AIを「魔法の杖」ではなく「強力なツール」として使いこなし、本当に成果の出るホームページを作るために、ぜひ最後までお読みください。
この記事を読むことで、あなたは以下のメリットを得られます。
- AIホームページ制作のメリット・デメリットを理解できる
- 失敗事例から、陥りやすい落とし穴を事前に回避できる
- AIを効果的に活用し、ホームページ制作を成功させるための具体的なステップがわかる
- 法的リスクを回避し、安心してホームページを運営できる
AIホームページ制作とは?基本と限界を知る
AIホームページ制作とは、人工知能(AI)を活用してホームページを作成する手法の総称です。AIは、デザインの提案、コンテンツの生成、コーディングの自動化など、様々な場面で活用されています。
しかし、AIは万能ではありません。AIにできること、できないことを正しく理解することが、AIホームページ制作を成功させるための第一歩です。
AIホームページ制作の歴史と進化
AIホームページ制作の歴史は、まだ浅いと言えます。初期のAIは、単純なデザインテンプレートの提案や、簡単なテキスト生成に留まっていました。しかし、近年のAI技術の急速な進化により、より高度なデザイン、複雑なレイアウト、自然な文章の生成が可能になりつつあります。
特に、2022年以降に登場した「ChatGPT」のような対話型AIは、ホームページ制作の分野に大きな影響を与えています。まるで人間と会話するように、AIに指示を出すだけで、ある程度のクオリティのホームページが作成できるようになりました。
AIで「できること」と「できないこと」
AIは、ホームページ制作の様々なタスクを効率化することができます。しかし、人間の創造性や判断力に取って代わることはできません。
- デザインテンプレートの提案
- 簡単なテキストコンテンツの生成
- 画像素材の検索と提案
- コーディングの自動化
- SEO対策の提案
- ブランドイメージに合わせたオリジナルのデザイン
- ターゲット顧客のニーズを深く理解したコンテンツ
- 複雑な機能の実装
- 最新のWeb技術への対応
- 法的リスクの判断
AIを効果的に活用するためには、AIの得意分野と苦手分野を理解し、人間とAIが協力してホームページを制作することが重要です。

「バイブコーディング(Vibe Coding)」の落とし穴
最近、「バイブコーディング(Vibe Coding)」という言葉が注目されています。これは、プログラミング言語を使わず、「なんとなくこんな感じ(Vibe)」という自然な言葉でAIに指示を出してコードを書かせる手法のことです。
一見、夢のような技術ですが、ここには大きな落とし穴があります。
AIは、あなたの頭の中にあるイメージを勝手に読み取ってくれるわけではありません。例えば、あなたが建築家に「なんとなくオシャレな家を建てて」とだけ伝えたらどうなるでしょうか? おそらく、あなたのライフスタイルや土地の条件を無視した、見た目だけの家が出来上がり、住んでみてから不便さに気づくはずです。
ホームページ制作も同じです。
- 誰がターゲットなのか?(例:20代の女性か、60代の経営者か)
- どんなデザインテイストか?(信頼感重視の青系か、親しみやすい暖色系か)
- サイトの目的は?(問い合わせ獲得か、採用情報の周知か)
これらが確定していない状態でAIにコードを書かせても、「意図しない、ちぐはぐなサイト」が出来上がるだけです。AIを使いこなすには、人間側が詳細な設計図(要件定義)を持っている必要があります。
経営者が知っておくべきAIでホームページ制作を行う3つのリスク
AIホームページ制作には、コスト削減やスピードアップといったメリットがある一方で、見過ごせないリスクも存在します。ここでは、経営者が特に注意すべき3つのリスクについて解説します。
リスク1:見えない作業の多さ【公開までの道のりは遠い】
「AIに作らせたら、ブラウザ上で綺麗なデザインが表示された!これで完成だ!」
そう思うのは時期尚早です。実は、ここからが本当の戦いです。
「画面上でデザインが見れること」と「インターネット上で誰でも見られるホームページとして公開・運用できること」は、天と地ほどの差があります。
AIツールが「簡単です」と謳うのは、あくまで最初のデザイン作成部分だけであることがほとんどです。実際にホームページとして機能させるためには、以下のような専門的な作業が不可欠です。
- サーバーへのアップロード
作ったデータは、あなたのパソコンにあるだけでは誰も見られません。「サーバー」という、インターネット上の土地にデータを置く必要があります。AIがコードを書いてくれても、このサーバー設定やファイル転送(FTPなど)の手順までは自動でやってくれないことが多いのです。 - ドメイン連携とDNS設定
サーバー(土地)を用意したら、次は「住所」が必要です。これが「ドメイン(例:kigyou.com)」です。取得したドメインと、データを置いたサーバーを紐付ける設定(DNS設定)は非常に複雑で、間違えるとメールすら届かなくなるリスクがあります。 - サブドメインとサブディレクトリの違い
SEO(検索順位)を考える上で、URLの構造は非常に重要です。AIはこの違いによる「検索エンジンからの評価への影響」まで考慮してくれません。経営判断としてどちらを採用すべきかは、人間が決める必要があります。 - WordPressの更新とセキュリティ
世界中で使われているWordPressなどのシステムを使う場合、導入して終わりではありません。定期的なアップデートが必要です。AIが作った独自のコードが、将来のアップデートに対応できず、ある日突然画面が真っ白になる(クラッシュする)ことも珍しくありません。 - HTTPS対応(SSL化)
今や常識となっている、通信の暗号化(URLの鍵マーク)です。これを設定しないと、ブラウザに「保護されていない通信」と警告が出て、ユーザーの信頼を大きく損ないます。これには認証局への申請やサーバー証明書のインストールが必要です。 - スマホ・PCへのデバイス対応(レスポンシブ)
パソコンの画面では綺麗に見えていても、スマホで見たら文字が小さすぎたり、ボタンが押せなかったりすることが多々あります。AIは「パソコン画面のコード」は綺麗に書けても、あらゆるスマホ機種での表示崩れまで完璧に防ぐことは難しいのが現状です。
リスク2:法的リスク【知らずに違反することも】
AIを使ってホームページを作る際、最も注意すべきなのが「知らず知らずのうちに違法行為をしてしまうリスク」です。
AIは、インターネット上のあらゆる情報を学習元にしていますが、その中には「やってはいけない手法(グレーゾーンやブラックな手法)」も含まれています。AIは善悪を判断しないため、平気でリスクの高い提案をしてくることがあります。
具体例:検索結果の無断スクレイピング問題(SerpApiの事例)
もしあなたがAIに「自社の評判を自動で集めてサイトに表示したい」と相談したとします。するとAIは、「SerpApiを使ってGoogleの検索結果から口コミを取得するコード」を提案するかもしれません。
しかし、これは非常に危険です。Googleは、このSerpApiを「検索結果の無断スクレイピング(データの不正取得)」であるとして提訴しています。
(参考:CodeZine - Google、検索結果をスクレイピングする「SerpApi」を提訴)
AIに言われるがままこのコードを実装した場合、あなたの会社は知らず知らずのうちにGoogleの利用規約に違反し、最悪の場合、検索結果からの削除や法的措置を受ける可能性があります。「AIが教えてくれたから大丈夫だと思った」という言い訳は通用しません。
リスク3:AIは「専門バカ」【全体最適ができない】
AIの特性を理解するために、「超優秀だが、融通の利かない新入社員」をイメージしてください。
AIは、世界中の膨大なプログラムコードを記憶しています。そのため、「この機能を実装して」と言えば、教科書通りのコードを即座に返してくれます。知識量ではベテランエンジニアも敵いません。

しかし、AIには「プロジェクトごとの文脈」を読む力が欠けています。
- 「今の会社のサーバー環境だと、この最新技術は動かない」
- 「将来的に機能を拡張するなら、この書き方だと修正が大変になる」
- 「予算を抑えるなら、コードを書かずに既存のツールを使った方がいい」
といった、状況に合わせた「最善の選択(アーキテクチャの選定)」ができません。言われた通りにコードを書くことは得意でも、それが今のあなたの会社にとって正解かどうかを判断するのは苦手なのです。
【事例紹介】AI制作で「安物買いの銭失い」になったA社の悲劇
ここでは、実際に起こりうるトラブルを、実際にあった事例を通じて紹介します。
登場人物・企業プロフィール
- 企業: 株式会社A(地方の特産品販売業)
- 人物: 佐藤社長(40代男性)。ITには詳しくないが、新しいもの好き。「とにかくコストを抑えたい」が口癖。
- 課題: 新商品のランディングページ(LP)を急ぎで作りたいが、制作会社の見積もり(30万円)が高いと感じている。
Before:AIなら無料でできると確信
「今はAIの時代だ。制作会社に頼まなくても、話題の生成AIを使えば自分でも作れるはずだ」。
そう考えた佐藤社長は、有名な対話型AIに「特産品を売るカッコいいホームページのコードを書いて」と指示を出しました。
AIは数秒でHTMLとCSSというコードを出力しました。佐藤社長がそれを自分のパソコンで開くと、確かに綺麗な画像と文字が並んでいます。「すごい!これで30万円が浮いた!」佐藤社長は有頂天でした。
Action:見よう見まねでの公開作業
しかし、ここからが地獄の始まりでした。
「これをインターネットに出すにはどうすればいいんだ?」
AIに聞くと「サーバーを契約してFTPでアップロードしてください」と返ってきます。佐藤社長には「FTP」の意味が分かりません。解説サイトを見ながら、丸3日かけてなんとかレンタルサーバーにファイルを上げました。
次に、「お客様の声」を自動で載せたいと考え、AIに追加機能を依頼しました。AIは(前述のような)外部サイトから情報を取得するプログラムを提案し、佐藤社長は意味も分からずそれを実装しました。
After:表示崩れと警告メール
公開から1週間後。
顧客から電話が殺到しました。
「スマホで見ると注文ボタンが画面からはみ出していて押せない」
「サイトを開こうとするとセキュリティ警告が出る」
というのです。
慌てて確認すると、パソコンでは綺麗に見えていたサイトが、スマホではレイアウトが崩壊していました。
HTTPS設定(SSL化)を忘れていたため、信頼性もガタ落ちです。
それから数カ月後、Googleからコピペコンテンツのため、検索結果から削除するという通達が届きました。
なんと、会社名で検索して検索結果に表示されないことになったのです。
結局、佐藤社長はサイトを閉鎖。改めてプロの制作会社とWebマーケティング会社に依頼し、「復旧作業費」や「急ぎの特急料金」が加算され、当初の見積もりの3倍以上の費用がかかってしまいました。
AIホームページ制作でよくある間違いと注意点
AIでのホームページ制作において、経営者が陥りやすい間違いをまとめました。
「コード生成」=「サイト完成」ではない:
コードはあくまで部品です。家を建てるのに、木材だけあっても建たないのと同じです。インフラ周りの構築が必須です。
セキュリティ意識の欠如:
AIが書くコードには脆弱性(セキュリティの穴)が含まれることがあります。お問い合わせフォームから個人情報が流出するリスクもあります。
著作権とライセンス:
AIが生成した画像やコードが、他者の著作権を侵害している可能性があります。商用利用が可能かどうか、AIが参照したデータの権利関係はブラックボックスです。
保守・運用の軽視:サイトは生き物です。作った後、誰が修正するのでしょうか? AIが書いた複雑なコードを、後から人間が修正するのは非常に困難(高コスト)です。
【Q&A】AIホームページ制作に関するよくある質問
AIホームページ制作に関して、お客様からよくいただく質問とその回答をまとめました。
Q1:AIだけで本当にホームページは作れますか?
A1:簡単なホームページであれば、AIだけでも作成可能です。しかし、デザイン性や機能性を追求する場合、または、ビジネス利用を目的とする場合は、プロのサポートがあった方が安心です。

Q2:AIホームページ制作の費用はどのくらいですか?
A2:AIツール自体は無料または低価格で利用できるものが多いですが、サーバー費用、ドメイン費用、プロのサポート費用などを考慮する必要があります。トータルで考えると、必ずしも低価格とは限りません。
Q3:AIで作ったホームページはSEOに強いですか?
A3:AIはSEO対策の提案をしてくれますが、それを鵜呑みにするのは危険です。AIが提案するSEO対策が、必ずしも最新のSEOのトレンドに合致しているとは限りません。SEOの知識を持った専門家のチェックを受けることをおすすめします。
Q4:AIで作ったホームページの著作権はどうなりますか?
A4:AIが生成したコンテンツの著作権は、AIの利用規約によって異なります。商用利用を検討している場合は、必ず利用規約を確認し、著作権に関する条項を理解しておく必要があります。
Q5:AIホームページ制作で失敗しないためにはどうすればいいですか?
A5:AIに丸投げせず、必ず人間の目でチェックすることが重要です。また、AIの得意分野と苦手分野を理解し、人間とAIが協力してホームページを制作することが、AIホームページ制作を成功させるための鍵となります。
Q6:ホームページにAIチャットボットを設置することは可能ですか?
A6:はい、可能です。多くのAIチャットボットサービスが、ホームページへの埋め込み機能を提供しています。AIチャットボットを設置することで、顧客対応の効率化や、24時間365日のサポート体制を実現できます。
Q7:AIを使ってブログ記事を自動生成できますか?
A7:はい、AIを使ってブログ記事の作成を支援できます。ただし、AIが生成した文章は、事実と異なる情報が含まれていたり、不自然な表現が含まれている可能性があります。必ず人間の目で内容をチェックし、修正を加えるようにしてください。
まとめ:AIは「魔法の杖」ではない。賢く活用してホームページ制作を成功させよう!
AIを活用したホームページ制作は、確かに可能性を秘めています。しかし、それは「誰でも簡単にできる魔法」ではなく、「プロが使うことで生産性を上げるための高度なツール」と捉えるべきです。
- 完全な丸投げは避ける: 基礎知識(ドメイン、サーバー、セキュリティ)がない状態で、AIだけで完結させようとしない。
- 要件定義は人間がやる: 誰に、何を、どう伝えたいか。設計図までは人間がしっかり考え抜く。
- プロとの協業を選ぶ: AIを使ってコストを下げたいなら、その旨を制作会社やフリーランスに相談する。「AIを活用してもいいので安くしてほしい」という交渉の方が、自力で作るより遥かに安全で高品質なものが手に入ります。
「AIで作る」という甘い言葉に惑わされず、リスクを正しく理解した上で、賢い経営判断を行ってください。ホームページは会社の「顔」です。見せかけだけの顔ではなく、中身のしっかりした信頼できるサイト作りを目指しましょう。

