ホームページは企業の顔であり、信頼の証です。しかし、もしそのホームページが乗っ取られたり、改ざんされたりしたら…想像してみてください。顧客情報の漏洩、風評被害、そして何よりも大切な信頼の失墜。中小企業にとって、これは致命的なダメージとなりかねません。

WordPressは、その手軽さと自由度の高さから多くの企業で利用されています。しかし、その人気ゆえに、セキュリティのリスクも常に付きまといます。特に、中小企業では専門のIT担当者がいない場合が多く、セキュリティ対策が疎かになりがちです。

「うちの会社は大丈夫だろうか…」
そう思われたなら、ぜひこの記事を読み進めてください。この記事では、WordPressホームページが抱えるリスクを具体的に解説し、中小企業でもできる効果的な対策を、実際の事故事例を交えながらご紹介します。

この記事を読むことで、あなたは以下のメリットを得られます。

  • WordPressホームページのリスクを正しく理解し、具体的な対策を講じることができる
  • 自社のホームページのセキュリティレベルを診断し、改善点を見つけることができる
  • 万が一の事故が発生した場合の対応策を知り、被害を最小限に抑えることができる

この記事を読み終える頃には、あなたはWordPressホームページのリスクを恐れることなく、安全に運用するための知識と自信を手に入れていることでしょう。それでは、一緒に学んでいきましょう。

WordPressホームページのリスク:基礎知識

WordPressは、世界で最も利用されているCMS(コンテンツ管理システム)です。CMSとは、ホームページのコンテンツを簡単に作成・管理できるシステムのことで、専門的な知識がなくても、ブログのような感覚でホームページを更新できます。

WordPressの歴史は古く、2003年に誕生しました。当初はブログツールとして開発されましたが、その使いやすさと拡張性の高さから、企業ホームページやECサイトなど、様々な用途で利用されるようになりました。

WordPressのメリットは数多くありますが、代表的なものとして以下の点が挙げられます。

  • 無料で利用できる:WordPress自体はオープンソースのソフトウェアであり、無料で利用できます。
  • 豊富なテーマとプラグイン:デザインテンプレートである「テーマ」や、機能拡張のための「プラグイン」が豊富に用意されており、自由にカスタマイズできます。
  • SEOに強い:構造がシンプルで、検索エンジンに最適化しやすい設計になっています。
  • 情報が多い:利用者が多いため、トラブルシューティングやカスタマイズに関する情報が豊富に入手できます。

しかし、WordPressにはデメリットも存在します。その中でも特に注意すべきなのが、セキュリティリスクです。

WordPressは世界中で利用されているため、攻撃者にとって格好の標的となります。また、プラグインやテーマの脆弱性を悪用した攻撃も頻繁に発生しています。そのため、WordPressホームページを安全に運用するためには、適切なセキュリティ対策が不可欠です。

実際に起きた悪夢!WordPressサイトの修正に65万円を支払った中小企業の実例

東京都内で飲食店を3店舗経営するA社。
創業15年目を迎え、事業も軌道に乗り始めた頃、集客強化のため本格的なホームページのリニューアルを決意した。
知人の紹介で地元のホームページ制作会社B社と契約。初期制作費用は約80万円。
そして月額2万5千円の保守管理契約を結び、WordPressでコーポレートサイトを制作してもらった。

最初の1年間は順調だった。新メニューの追加や店舗情報の更新など、ちょっとした修正依頼にもB社は迅速に対応してくれた。A社の社長は「さすがプロだな」と満足していたという。

ところが、運用開始から1年半が経過したある日、突然トラブルが発生する。トップページのレイアウトが大きく崩れ、スマートフォンで見ると文字が重なって読めない状態になってしまったのだ。慌ててB社に連絡を入れたA社の総務担当者。しかし、返ってきた答えは信じられないものだった。

「申し訳ございません。実は昨年、御社の担当をしていた者が退職しておりまして…WordPressの管理画面にログインするためのパスワードが分からない状況なんです」

耳を疑った。毎月2万5千円もの保守管理費用を支払い続けていたにもかかわらず、担当者の退職と共にログイン情報が失われていたというのだ。引き継ぎはどうなっていたのか。社内でパスワード管理はしていなかったのか。

A社の社長は激怒した。
「それなら、この1年間、我々が支払っていた保守管理費用は一体何だったんだ!」
厳しく問い詰めたが、B社の担当者は
「本当に申し訳ございません」
と謝罪するばかりで、具体的な解決策を一切提示できない。修正はおろか、ログインすらしてもらえない状況が続いた。

後から分かったことだが、実はこのB社、HTMLやCSSといったデザイン面の知識は豊富だったものの、WordPressの根幹を支えるPHPというプログラミング言語や、サーバーの設定、データベース(MySQL)といったシステムの裏側については、ほとんど理解していなかったのだ。

WordPressは世界中で使われている優秀なCMS(コンテンツ管理システム)だが、その普及率の高さゆえに、実は非常に狙われやすい。セキュリティの脆弱性を突いた攻撃も後を絶たず、プラグインやWordPress本体の定期的なアップデートが欠かせない。つまり、「作って終わり」ではなく、適切な保守管理には高度なシステム知識が必要不可欠なのだ。しかし残念ながら、多くのホームページ制作会社はデザインには強くても、こうしたシステム面の深い知識を持っていないケースが少なくない。

万策尽きたA社は、B社との契約を解除し、システム開発に強い別のIT企業C社に相談することにした。C社のエンジニアが調査した結果、状況は予想以上に深刻だった。管理画面にログインできないため、サーバーに直接アクセスする「裏口」からシステムに侵入。エラーログを丹念に解析し、レイアウト崩れの原因を特定。古いバージョンのまま放置されていたプラグインが原因で、新しいWordPressのコア部分と互換性がなくなっていたのだ。

さらに、長期間更新されていなかった複数のプラグインにはセキュリティリスクもあり、これらも併せて対応する必要があった。結局、システムの修正、セキュリティ対策、プラグインの更新作業、そして今後同じトラブルが起きないための環境整備まで含めて、A社が新たに支払った金額は、なんと65万円。当初のサイト制作費用に匹敵する出費となってしまった。

「最初からシステムに強い会社を選んでいれば…」A社の社長は今でもそう悔やんでいるという。

WordPressホームページの3大リスクと対策

WordPressホームページには、様々なリスクが存在しますが、ここでは特に注意すべき3つのリスクと、その対策について解説します。

1. ホームページの乗っ取り・改ざんリスク

wordpress ホームページ リスク - Technology
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ホームページが乗っ取られ、改ざんされるリスクは、WordPressホームページにおいて最も深刻なリスクの一つです。攻撃者は、脆弱性を悪用してホームページに侵入し、コンテンツを書き換えたり、悪意のあるコードを埋め込んだりします。

具体例:

  • 2020年には、人気プラグイン「WP File Manager」の脆弱性により、世界で70万サイト以上が改ざんされました。
  • 企業サイトが違法サイトへのリンク集に変えられ、Google検索から削除され、取引停止になった事例もあります。
  • ホームページに不正な広告が表示されたり、訪問者がフィッシングサイトに誘導されたりするケースもあります。

メリット:

  • ホームページが改ざんされると、企業の信用が大きく損なわれます。
  • 顧客情報が漏洩する可能性があります。
  • SEOの評価が下がり、検索順位が低下する可能性があります。
  • 復旧に時間と費用がかかります。

デメリット:

  • セキュリティ対策には、ある程度の知識と手間が必要です。
  • 完全にリスクをなくすことはできません。

対策:

  • WordPress本体、テーマ、プラグインを常に最新の状態に保つ:古いバージョンには脆弱性が残っている可能性が高いため、常に最新の状態に保つことが重要です。
  • 強力なパスワードを設定する:推測されやすいパスワードは避け、大文字、小文字、数字、記号を組み合わせた複雑なパスワードを設定しましょう。
  • セキュリティプラグインを導入する:不正アクセスを検知したり、脆弱性をスキャンしたりするセキュリティプラグインを導入しましょう。(例:Wordfence Security, Sucuri Security)
  • 定期的にバックアップを取得する:万が一、ホームページが改ざんされた場合に、迅速に復旧できるように、定期的にバックアップを取得しておきましょう。
  • ログインURLを変更する:WordPressのデフォルトのログインURL(/wp-admin)は、攻撃者によく知られているため、変更することをおすすめします。

2. プラグインの脆弱性リスク

WordPressの魅力の一つは、プラグインによって様々な機能を追加できることです。しかし、プラグインの品質はピンキリであり、中にはセキュリティ対策が不十分なものも存在します。脆弱性のあるプラグインをインストールすると、そこから攻撃者が侵入し、ホームページを乗っ取られる可能性があります。

具体例:

  • 過去には、「Slider Revolution」という人気プラグインの脆弱性を悪用した大規模な改ざん事件が発生しました。
  • 脆弱性のあるプラグインを通じて、マルウェアが埋め込まれ、訪問者のパソコンが感染した事例もあります。
  • WordPressは通常、10~30個のプラグインを使います。 1つでも更新を忘れると、攻撃の入口になります。
    「忙しくて半年放置」 →マルウェア埋め込み →顧客情報漏洩という事故は珍しくありません。

メリット:

  • プラグインを利用することで、手軽に様々な機能を追加できます。
  • WordPressの可能性が広がります。

デメリット:

  • 脆弱性のあるプラグインをインストールすると、セキュリティリスクが高まります。
  • プラグインの数が増えると、管理が煩雑になります。
  • プラグイン同士の相性が悪く、不具合が発生する可能性があります。

対策:

  • 信頼できる開発元のプラグインを選ぶ:プラグインを選ぶ際には、開発元の評判や実績を確認し、信頼できるものを選びましょう。
  • 不要なプラグインは削除する:使用していないプラグインは、セキュリティリスクを高めるだけなので、削除しましょう。
  • プラグインの自動更新を有効にする:WordPressには、プラグインを自動的に更新する機能があります。これを有効にしておくと、常に最新の状態に保つことができます。
  • プラグインの脆弱性情報をチェックする:セキュリティ関連のニュースサイトやブログで、プラグインの脆弱性情報が公開されることがあります。定期的にチェックし、脆弱性が見つかった場合は、速やかに対応しましょう。

3. PHPのバージョン更新リスク

WordPressはPHPというプログラミング言語で動作しています。サーバー会社は定期的にPHPのバージョンを更新しますが、古いテーマやプラグインは新しいバージョンのPHPに対応していない場合があります。その結果、ホームページが正常に表示されなくなったり、機能が停止したりする可能性があります。

具体例:

  • PHPを更新したら、ホームページのレイアウトが崩れてしまった。
  • 問い合わせフォームが正常に動作しなくなり、顧客からの問い合わせを受け付けられなくなった。
  • 決済機能が停止し、売上が大幅に減少した。

メリット:

  • PHPを最新の状態に保つことで、セキュリティが向上し、パフォーマンスが改善されることがあります。

デメリット:

  • 古いテーマやプラグインがPHPのバージョンアップに対応していない場合、ホームページが正常に動作しなくなる可能性があります。
  • PHPのバージョンアップ作業には、ある程度の知識と手間が必要です。

対策:

  • PHPのバージョンアップ前に、必ずバックアップを取得する:万が一、ホームページが正常に動作しなくなった場合に、すぐに元の状態に戻せるように、必ずバックアップを取得しておきましょう。
  • PHPのバージョンアップ前に、テーマとプラグインの互換性を確認する:テーマとプラグインの開発元のウェブサイトで、最新バージョンのPHPとの互換性が確認されているか確認しましょう。
  • PHPのバージョンアップ後、ホームページを Thoroughly テストする:バージョンアップ後、ホームページ全体を Thoroughly テストし、正常に動作することを確認しましょう。
  • PHPの自動更新を停止する:サーバーによっては、PHPが自動的に更新される設定になっている場合があります。自動更新を停止し、手動でバージョンアップすることで、事前に互換性を確認する時間を持つことができます。
POINT
  • WordPressは「整備が必須の高性能車」です。
  • 毎月の更新、セキュリティ監視、バックアップ管理を怠ると事故になります。
  • ホームページは名刺ではなく、会社の信用資産です。
  • 作る費用だけでなく、守るコスト、事故時の損失まで考えることが重要です。

WordPressホームページを安全に運用するための実践手順

wordpress ホームページ リスク - Office
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WordPressホームページを安全に運用するためには、以下の手順を参考に、具体的な対策を講じていきましょう。

  1. 現状把握:自社のホームページのセキュリティレベルを診断し、脆弱性がないか確認します。
  2. 対策計画:診断結果に基づき、具体的な対策計画を立てます。
  3. 対策実行:計画に基づき、セキュリティ対策を実行します。
  4. 監視・改善:ホームページのセキュリティ状況を継続的に監視し、必要に応じて対策を改善します。

これらの手順を、以下の具体例を参考にしながら進めていきましょう。


ステップ1:現状把握

まずは、自社のホームページのセキュリティレベルを診断し、脆弱性がないか確認します。以下のツールやサービスを利用すると、簡単に診断できます。

  • オンライン脆弱性スキャナ:WebサイトのURLを入力するだけで、自動的に脆弱性を診断してくれるツールです。(例:Sucuri SiteCheck, Qualys SSL Labs)
  • WordPressセキュリティプラグイン:WordPressにインストールすることで、脆弱性をスキャンしたり、不正アクセスを検知したりするプラグインです。(例:Wordfence Security, Sucuri Security)
  • セキュリティ専門業者による診断:専門業者に依頼することで、より Thoroughly な診断を受けることができます。

ステップ2:対策計画

診断結果に基づき、具体的な対策計画を立てます。以下の項目を参考に、自社のホームページに必要な対策を洗い出しましょう。

  • WordPress本体、テーマ、プラグインのアップデート
  • パスワードの強化
  • セキュリティプラグインの導入
  • バックアップの取得
  • ログインURLの変更
  • WAF(Web Application Firewall)の導入

ステップ3:対策実行

計画に基づき、セキュリティ対策を実行します。以下の点に注意しながら、着実に作業を進めていきましょう。

  • WordPress本体、テーマ、プラグインを最新の状態に保つ
  • 強力なパスワードを設定する
  • セキュリティプラグインを導入する
  • 定期的にバックアップを取得する
  • ログインURLを変更する
  • WAFを導入する

ステップ4:監視・改善

ホームページのセキュリティ状況を継続的に監視し、必要に応じて対策を改善します。以下のツールやサービスを利用すると、簡単に監視できます。

  • セキュリティ監視サービス:専門業者に依頼することで、24時間365日、ホームページのセキュリティ状況を監視してもらえます。
  • ログ監視ツール:サーバーのログを監視することで、不正アクセスや異常な挙動を早期に発見できます。

WordPressホームページのよくある間違いと注意点

wordpress ホームページ リスク - Work
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WordPressホームページのセキュリティ対策を行う上で、よくある間違いや注意点について解説します。これらの点に注意することで、より効果的な対策を講じることができます。

  • パスワードを使い回す:複数のサイトで同じパスワードを使い回すと、一つのサイトが漏洩した際に、他のサイトも危険にさらされます。
  • バックアップを放置する:バックアップを取得しただけで満足し、実際に復元できるか確認しないと、いざという時に役に立ちません。
  • セキュリティプラグインを過信しすぎる:セキュリティプラグインは万能ではありません。過信せずに、他の対策と組み合わせることが重要です。
注意点

WordPressは、あくまで「手段」であり「目的」ではありません。ホームページの目的を明確にし、それに合った適切なCMSを選ぶことが重要です。

WordPressホームページのリスクに関するQ&A

WordPressホームページのリスクに関して、よくある質問とその回答をまとめました。

  1. Q: WordPressは本当に危険なの?
    A: WordPress自体が危険なのではなく、適切なセキュリティ対策を講じないことが危険です。
  2. Q: セキュリティ対策はどこまでやればいいの?
    A: 完全にリスクをなくすことはできませんが、できる限りの対策を講じることが重要です。自社のホームページの規模や重要度に合わせて、適切な対策レベルを設定しましょう。
  3. Q: セキュリティ対策を外部に委託することは可能?
    A: 可能です。セキュリティ専門業者やホームページ制作会社に委託することで、専門的な知識や技術を活用できます。
  4. Q: 静的サイト(SSG)やCMSを外部化するメリットは?
    A: WordPressのリスクを減らす設計として、静的サイト(SSG)やCMSを外部化するという方法があります。これらは、WordPressの脆弱性を直接的に狙われるリスクを軽減し、セキュリティを向上させる効果があります。
  5. Q: 保守契約を結ぶ際の注意点は?
    A: 保守契約を結ぶ際には、契約内容を Thoroughly 確認し、セキュリティ対策やバックアップ、復旧作業などが含まれているか確認しましょう。また、保守担当者のスキルや実績も確認することが重要です。

まとめ:WordPressのリスクを理解し、安全なホームページ運用を

WordPressホームページのリスクについて、詳しく解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?

WordPressは、手軽にホームページを作成・管理できる便利なCMSですが、セキュリティリスクも伴います。しかし、適切な対策を講じることで、リスクを最小限に抑え、安全に運用することができます。

この記事で解説した内容を参考に、自社のホームページのセキュリティレベルを見直し、必要な対策を講じてください。そして、ホームページを企業の信用資産として、大切に守り育てていきましょう。

もし、セキュリティ対策に不安を感じる場合は、専門業者に相談することも検討してみてください。プロの視点から、最適な対策を提案してもらうことができます。

あなたのホームページが、安全で安心して利用できる、企業の顔となることを願っています。