ウェブ解析士マスターの年収は900万円以上あるという噂の出どころ
先日、ウェブ解析士の講義をやっている時に受講生さんから突っ込まれた質問がこちら
先生!ウェブ解析士マスターって年収900万円以上あるって聞いたことあるんですけど本当なんですか!?
いや~初耳です(笑)
いったい、どこの誰がそんなこと言ったんだろと思って調べてみたら、おそらくウェブ解析士マスターの年収900万円の情報の出どころは、こちらのXの投稿ですね。
やっぱり、どんな職種の方が取得しているのかも気になりますよね~!
— ウェブ解析士協会 WACA【公式】 (@wacajp) October 29, 2020
ということで、続いてはこちら!
・資格取得者の職種
・資格別の年収
回答期間:2020年8月~2020年10月
回答数:1,697名 pic.twitter.com/LLwhgNe05D
なるほど(笑)
900万円以上とは書かれていないけど、中央値が900万円とは書いてますね。
さてこういった情報は、クリティカルに判断しないといけません。
ウェブ解析士マスターの年収を考える際のポイント
データを見た時には、そのまま鵜呑みにしたらカモられます(笑)
よくやってしまいがちな解釈ミスが、
A=Bとある場合、
Aという原因のおかげでBという結果があったと解釈してしまうことです。
今回の場合、
A=ウェブ解析士マスター
B=年収900万円
なので、
A(ウェブ解析士マスター)になったおかげで、B(年収900万円)になった。
という解釈です。
これだと、ウェブ解析士マスターの資格を取得する大きなメリットに思えますよね。
ウェブ解析士協会が喜びそうです(笑)
でも、逆もありえます。
Bという状態だった人がAになった。
つまり、
B(年収900万円)だった人が、A(ウェブ解析士マスター)になった。
あくまで私の経験に基づいておりますので、実際の情報はわかりませんが、こちらの方が多いんじゃないかと私は考えています。
実際、私の周りのウェブ解析士マスターの方は、大手の広告代理店の部長以上の方や、Webマーケティング、制作会社の経営者さんばかりです。そのぐらいでないとウェブ解析士マスターの受講料の支払いに苦労するんじゃないでしょうか。
だって、ウェブ解析士マスター講座の受講料はかなり高額だから。
想像以上に高額なウェブ解析士マスター講座の受講料の変遷

2010年~2011年7月まで
私がウェブ解析士マスターの資格を取得したこの時期の受講料は16万円(税込)でした。
全4日間(20時間)の日程で、
・マクロ解析レポート
・ミクロ解析レポート
・模擬授業
を学びました。
当時、一緒にウェブ解析士マスターを受講した方は全員、期間内で一発合格でしたので、合格率は100%でした。
2011年8月~
ここから30万円(税込)と受講料が跳ね上がります。
全6日間(42時間)の日程で、
・マクロ解析レポート
・ミクロ解析レポート
・模擬授業
・講座開催実務
この頃からマスターの数が急増し始めます。
2020年頃~
2019年10月から消費税が10%に上がった後、受講料が33万円(税込)となりました。
カリキュラムは大きく変更されていません。
2022年頃~
ウェブ解析士マスターの受講料が現在と同じ44万円(税込)になりました。
カリキュラムそのものは大きく変更されていませんが、下記のようにコース制になりました。
・マクロ解析レポートコース 110,000円(税込)
・ミクロ解析レポートコース 110,000円(税込)
・講師養成コース 220,000円(税込)
さらに再試験の料金も22,000円(税込)から33,000円(税込)に上がりました。
また、現在のウェブ解析士マスターは一発合格される方は少ないようで、1~2回は再試験となると聞いたことがあります。
となると、
44万円+3.3万円×3コース=53.4万円(税込)
は想定していた方がいいでしょう。
ウェブ解析士マスターとなって年収を上げる3つの方法

ウェブ解析士の定義では、アクセス解析をはじめとしたウェブ解析データを活用し、デジタルマーケティングを通して事業の成果を導く人材を指します。
引用:https://www.waca.or.jp/course/wac/
そんなウェブ解析士の最上位資格がウェブ解析士マスターです。
期待されるレベルは圧倒的に高くなる中で、チームではなく1人で稼ぐ方法は大きく分けて3つあります。
・講座の売上で稼ぐ
・アクセス解析のみで稼ぐ
・アクセス解析+α得意なスキルで稼ぐ
講座の売上で稼ぐ
まず、講座の売上で年収900万円は非現実的です。
こちらをご覧ください。
2024年の1年間の受講者数と講師数、講師1人あたりの受講者数を表にしたものです。
講座名 | 2024年 受講者数 | 講師数 | 講師1人あたりの受講者数 |
---|---|---|---|
ウェブ解析士認定講座 | 1,149人 | 10人 | 115人 |
上級ウェブ解析士認定講座 | 168人 | 10人 | 17人 |
データ引用:
【WACA資格】 受講者数・受験者数・合格者数(2024年1月1〜31日)
【WACA資格】受講者数・受験者数・合格率(2024年12月1〜31日)
講師数は、講座を開催しているマスターの数を指します。
実際は、月によって変動するので10名と仮定しました。
その上で、講師1人当たりの受講者数は以下のとおりです。
ウェブ解析士認定講座が115人
上級ウェブ解析士認定講座が17人
ここにマスターの収益をかけ合わせます。
細かくは省きますが、ウェブ解析士協会のウェブサイトから申し込みがあった場合の受講者1人あたりのマスターの収益はウェブ解析士マスター規約から以下の通りです。
ウェブ解析士認定講座 5,500円
上級ウェブ解析士認定講座 23,100円
まとめるとマスター1人当たりの年間講座売上は以下の通りです。
ウェブ解析士認定講座の年間売上 115人×5,500円=約63万円
上級ウェブ解析士認定講座の年間売上 17人×23,100円=約39万円
合計102万円
ちなみに、これはかなり希望的観測の売上です。
実際はもっと少ないと見込んでおいた方が良いです。
アクセス解析のみで稼ぐ
アクセス解析を極めて稼ぐというパターンを考えている方もいますが、簡単ではありません。
その理由は、【アクセス解析だけ】を求めている会社は少ないためです。
アクセス解析でやることは、【Webマーケティングでの課題の発見】です。
課題を発見できた後は、SEOやWeb広告、Webページ制作等の【施策実行】が必要です。
でも、アクセス解析だけを求めている会社が無いわけではありません。
大手企業には少なからず存在します。
そういった大手企業にアプローチする場合の1つの武器として、ウェブ解析士マスターという【最上位資格】というブランドはある程度は効力を発揮します。
あわせて大手企業とつながりを持てる関係性を持つことがアクセス解析のみで稼ぐ1つのポイントになります。
アクセス解析+α得意なスキルで稼ぐ
こちらが、ウェブ解析士マスターになって年収900万円を稼ぐ現実的な方法だと思います。
ただし、根本的なことを言ってしまうと、無理してウェブ解析士マスターを取得するメリットは無いんじゃないかと思います(笑)
先ほど解説した通り、ウェブ解析士マスターを取得するコストは想像以上に高額です。
しかし、実際に学ぶ内容そのものは上級ウェブ解析士と同じです。
もちろん実際にマクロレポートやミクロレポートを作成してフィードバックをもらって合格を勝ち取るというのはマスター講座にしかない重量感ですが、習う内容そのものが上級ウェブ解析士と同じ場合、あえてウェブ解析士マスターを取るメリットは何なのか、悩むところです。
まったくWebマーケティングの知識や経験が無い方なら、Webマーケティングの基本的な知識の学習と確認ができるウェブ解析士の資格を取る意味は大きいですが、ウェブ解析士マスターの資格取得は慎重に考えて決めましょう。
参考:実際はどうなの!?「ウェブ解析士の難易度」と合格への最短ルート 最古の現役ウェブ解析士マスターが解説
ウェブ解析士マスターの資格取得によるROI(年収のアップ)は?
ROI、つまり費用対効果ですね。
ウェブ解析士マスターの資格を取得するのにかかる費用(53.4万円)でどれだけ利益を稼げるのか。
ぶっちゃけますと、2015年頃までは講座運営単体でもめちゃくちゃ稼げました。
私も講座の売上だけでフツーに年間1,000万円は超えていました。
協会へのロイヤリティを支払っても年間500万円以上は利益が残っていました。
ポイントは全て過去形です。
ところが、今はこれほど稼いでいるマスターは少なくとも、私は知りません。
詳細は明かせないですが、講座運営のシステムやロイヤリティやマスターの収益配分も年々、変化してきており、昔よりずっと稼ぎづらくなっています。
そのため、講座ビジネスを行いたいからウェブ解析士マスターの資格を取得しようと考えているならあまりおすすめはできません。
ウェブ解析士マスターの年収を上げるこれからの稼ぎ方は?

ウェブ解析士マスターの価値は全く無いかというとそうでもありません。
独占業務のない民間資格なんてものは、どのように活用するかがポイントです。
要は年収アップのためのビジネスモデルを考えて、そこにウェブ解析士マスターという資格を活かすことを考えましょう。
上級以下の資格とウェブ解析士マスターの資格の違いは、【認定講座】の開催の権限があることです。
・ウェブ解析士認定講座
・上級ウェブ解析士認定講座
これらを開催できるのはウェブ解析士マスターのみです。
一例ですが、この権限を活用して、以下のようなビジネスモデルを作るのはよくあります。
1、講座開催で受講生さんとつながる
2、つながった受講生さんでグループを作成
3、グループ限定で交流会などを実施してエンゲージメントを高める
4、アップセルのサービスを紹介・販売
このように資格を取得した後を見据えたビジネスモデルを構築してからウェブ解析士マスターの資格を取得するなら大いに資格は役立ちます。
だから、ウェブ解析士マスターの資格取得を考えているなら、まずはビジネスモデルをしっかり考えましょう。
講座うんぬんを抜きにして、Webをビジネスで活かしたいと考えているだけなら、ウェブ解析士の学習は強くおすすめします。