「ウェブ解析士の資格、独学で取れるのかな…」
「講座を受講した方がいいのかな…」
「実際の難易度はどうなんだろう…」
こんな悩みを抱えていませんか?
私は2011年にウェブ解析士、上級ウェブ解析士、ウェブ解析士マスターを一気に取得し、現在、ウェブ解析士認定講座を開催している講師の中での最古参のウェブ解析士マスターです。
その後、2012年から2024年までの13年間で、企業研修も含めて私の講座を受講された方は、ウェブ解析士認定講座が1,500人以上、上級ウェブ解析士認定講座が230人以上に上ります。
※最初の数年の名簿は消去したため、実際はさらにこの1.3倍ぐらいにはなるはずです。
また現在、私の講座を受講した受講生さんの中にはウェブ解析士マスターを取得して、委員会の活動に携わっている方もいます。
これらの経験を踏まえて、この記事では、以下の4つのポイントを中心に、資格取得までの道のりを具体的にお伝えします。
・ウェブ解析士認定講座と上級ウェブ解析士認定講座の難易度
・独学と講座受講、それぞれの特徴と選び方
・実践的な学習方法と必要な勉強時間
・試験で確実に点数を取るためのテクニック
・資格取得後の具体的な活用方法
ウェブ解析士の難易度は本当のところどうなのか
「ウェブ解析士は難しい資格なのでは?」という声をよく耳にします。
結論から申し上げると、2024年度の合格率は約80-85%と、かなり高い数値です。
年 | 合格率 |
---|---|
2024 | 80-85% |
2023 | 90-95% |
2022 | 45-55% |
2021 | 45-55% |
2020 | 55-65% |
しかし、よく見てください。
2022年以前は45-55%程度の合格率と半数近くが不合格になる試験でした。
それが、2023年は合格率が90%を超えており、ほぼ全員が受かるようになり、2024年以後もその傾向が続いています。
そのため、2022年以前に受験された方は『ウェブ解析士認定試験は難しい』というイメージを持っています。
ウェブ解析士の難易度が急に下がった理由をデータから考察
1人のウェブ解析士マスターとして13年以上にもわたって経験から、独断と偏見でウェブ解析士の難易度が下がった理由を推測してみます。
1、講義と試験のミスマッチが解消された
2、上級ウェブ解析士認定講座の受講者数を増やしたかった
大きくこの2つではないかと思いますので、解説します。
1、試験が真っ当になった
2022年以前は、講義で使用するスライド資料と試験問題に大きなミスマッチがありました。
詳しく説明しますと、講義では公式テキストの内容をより分かりやすく説明するためにウェブ解析士協会が作成したスライド資料を元に各マスターがオリジナルの工夫を加えていました。
試験問題はそのスライド資料をベースとして公式テキストからも出題される、という形式であるべきでした。
しかし、実際の所、講義で使用していたスライド資料と試験で出題される問題に大きな剥離がある上に、スライド資料に『練習問題』として掲載されていた問題とも全く異なる内容が出題されていました。
その結果、講座を受講したら試験の合格率が上がるはずが、講座を受講してもしなくてもあまり結果が変わらないという事態になっていました。
2、上級ウェブ解析士認定講座の受講者数を増やしたかった
2021年から2024年までの上級ウェブ解析士の有資格者数の表とグラフをご覧ください。
年 | 数値 | リンク |
---|---|---|
2024 | 2,830 | 参照記事 |
2023 | 2,657 | 参照記事 |
2022 | 2,473 | 参照記事 |
2021 | 2,499 | 参照記事 |

ウェブ解析士認定試験の合格率が55%程度だった2022年は前年比で上級ウェブ解析士の有資格者数が減少していましたが、ウェブ解析士認定試験の合格率が90%を超えた2023年以後は急増していることが分かります。
上級ウェブ解析士認定講座を受講するには、ウェブ解析士認定試験の合格が必須条件です。
ウェブ解析士認定試験に合格しないと上級ウェブ解析士は受講できません。
そこで、上級ウェブ解析士認定講座の受講者数を増やす目的でウェブ解析士認定試験を改善して、合格率を上げたのではないかと思われます。
独学と講座受講のウェブ解析士認定試験の合格率比較
ウェブ解析士認定試験は2023年からウェブ解析士協会で一括申し込みとなり、ウェブ解析士マスターが試験の受付窓口から外れました。
その結果、独学組と講座受講組の合格率はそれぞれ非公開になり、どのぐらい差があるのか不明です。
2011年から2022年まではウェブ解析士マスターとウェブ解析士協会がそれぞれ試験の受付窓口となっていたため、私宛に試験を申し込まれた方の場合、合否と点数がすべて確認できておりました。
そのため、2022年以前のデータになりますが、参考値として見てください。
・講座受講者の合格率:約70-80%
・独学受験者の合格率:約25-40%
ただし、年によっても、研修の形態によっても大きく異なります。
目的意識を持った会社様の企業研修の場合、私の講座を受講された場合には合格率が100%になったことが度々ありました。
しかし、強制参加の上に試験勉強をほぼされていない会社様の場合、独学受験者と変わらない合格率になったこともあります。
そのため、本気で合格したいなら目的意識の高さが大切です。
合格ラインは70点って本当?
ウェブ解析士試験の合格ラインについては、実は非公開です。
ただ2010から2012年までは60点でした。
2013年から合格点が70点に引き上げられ、2020年頃から非公開になりました。
しかし、事実上70点が合格点であることはほぼ間違いありません。
90分50問、4択の選択式問題で構成されているため、1問2点の配点となっています。
そのため、35問正解すると合格です。
ウェブ解析士認定試験は持ち込みOKって本当!?
ウェブ解析士認定試験は公式テキストやペーパーベースでの書類の持ち込みもOKです。
もともと、2013年頃までは、持ち込みが一切不可能でした。
そのため、講座で習った内容と公式テキストの内容を頭の中に叩き込んでしっかり記憶して試験を受ける必要がありましたので、脳への負担はかなりキツイものがありました。
なお、注意点としては、試験自体がご自身のパソコンを使ってオンラインで受験するものですが、試験中にGoogleやSNSを使ったインターネット検索は原則不可になります。
過去問から見る2025年のウェブ解析士認定試験の出題傾向の特徴
第1章 ウェブ解析と基本的な指標(全51ページ)
第2章 事業戦略とマーケティング解析(全39ページ)
第3章 デジタル化戦略と計画立案(全51ページ)
第4章 ウェブ解析の設計(全51ページ)
第5章 インプレッションの解析(全48ページ)
第6章 エンゲージメントと間接効果(全43ページ)
第7章 オウンドメディアの解析と改善(全43ページ)
第8章 ウェブ解析士のレポーティング(全34ページ)
第9章 マーケティングにおける生成AIの活用(全30ページ)
2024年から2025年にかけてページ数が48ページ削減されました。
まぁ、削減された理由は私が公式テキストの削除を担当したからなんですが笑
それはさておき、試験に出題されやすい章はあるかどうか。
結論から言えば、過去はありました。
例えば第4章のウェブ解析の設計はページ数の割に出題される問題が多く、
また第8章のウェブ解析士のレポーティングはあまりたくさん出題されないと感じました。
ただ、それは問題数が60問で60分で解くという時代の試験ですので、今とはかなり傾向が異なります。
そのため、あまり参考にならないでしょう。
過去の試験の出題頻度の傾向から完全な個人的予測にはなりますが、
- Googleアナリティクス4のディメンションや指標の理解
- プライバシー保護や法規制に関する考え方
- AI・機械学習の基礎知識
このあたりは旬な内容なので出題されるのではないかと勝手に予測しています。
ウェブ解析士が役に立たないことはありえない
我々マスターに公開されている資料から考えると、2023年からは、実務に即した選択肢や、より具体的なビジネスシーンを想定した問題など良問が増加しており、試験の問い方も『不合格にするための問題』から『実務で役立つ知識を確認する問題』に移行していると感じます。
ウェブ解析士公式テキストの編集に携わって分かったこと
先述のとおり、私は2025年のウェブ解析士公式テキストの編集に自ら志願して携わりました。
理由は、分厚すぎるから半分ぐらいに削りたいと思ったからです笑
しかし、実際に公式テキストのページを大幅に減らすつもりで隅から隅まで何度も読みましたが、なかなか減らせない笑
その理由は、どのページもとても大切なことが書かれているから。
結局、難易度が高い内容を上級に移行することと、細かすぎる情報を削除することだけを提案して終わりました。
その結果、ページ数は49ページしか削除できませんでしたが、Webマーケティングに携わるなら、このぐらいのことは知っておかないと怪しい業者にだまされてしまったり、間違ったWebマーケティング手法に走ってしまうという本当に必要な内容が詰まっていることを確認できました。
ウェブ解析士の試験は単なる用語の暗記だけすれば解けるような問題ではなく、実際のWebマーケティングの現場で必要となる知識の理解が求められています。
そのため、個人的にWebマーケティングの最前線で悪戦苦闘しているウェブ解析士マスターの経験と知恵を盛り込んだ講座を受講されることをオススメします。
ただ、ウェブ解析士の試験は「講座受講」と「独学」という2つの選択肢がありますので、とりあえず試験だけ合格したいという人は、試験のみの受験も有りです。
ウェブ解析士の資格取得において、それぞれのメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。
講座受講のメリットと注意点
【講座受講のメリット】
・体系的な学習が可能
・試験のポイントを効率的に押さえられる
・練習問題がたくさん用意されている
・質問できる環境がある
・モチベーション維持がしやすい
・Webマーケティングのプロから現場の知恵と経験を得られる
【講座受講の注意点】
・受講費用が必要(約1万円程度)
・決められたスケジュールに従う必要がある
(私の講座では申込み完了とともに講義を収録した動画を送りますので申し込んだらすぐに受講可能です)
独学での学習方法と必要な教材
独学の場合、特に絶対に購入しないといけない教材はありません。
ぶっちゃけますと、公式テキストすら購入せずとも受験は可能です。
しかし、実際には公式テキストをお持ちでないと合格率は格段に低くなりますので、事実上、必須と言えます。。
- 公式テキスト(4,400円)【ほぼ必須】
- 公式問題集(2,860円)【あった方が良い】
独学で合格するための学習ステップ
① 公式テキストを通読1回目
【理想は全体像を把握するため1週間以内で時間をかけずにさっさと通読する】
② 問題集で演習(1週間程度)
【出題傾向と出題形式を把握するためこちらもなるべく早めに全部解く】
③ 公式テキストを通読2回目
【問われていた内容を思い出しながら読むことで頭に入りやすくなる】
④ 問題集で苦手分野の復習(1週間程度)
【問題集を全て解けるだけでなく、誤っている選択肢の理由を言えるようになるまで解説と公式テキストに遡って確認する】
具体的な勉強時間の目安と計画
【必要な総学習時間の目安】
・ウェブ業界経験者 ✕ 講座受講の場合:15-30時間程度
・ウェブ業界経験者 ✕ 独学の場合:20-40時間程度
・ウェブ業界未経験者 ✕ 講座受講の場合:40-60時間程度
・ウェブ業界未経験者 ✕ 独学の場合:50-70時間程度
【1日あたりの推奨学習時間】
・平日:1-2時間
・休日:3-4時間
試験に合格するための効率的な学習のための3つのポイント
- 学習計画を立てる
- 試験日から逆算して学習に割ける時間を見積もる
- 1日の目標ページ数を決める
- 朝と夜の復習時間は必ず確保する
- まず全体像を把握する
- 公式テキストの通読から始めることがオススメだが経験者は問題集から始めてもよい
- 1回目から完璧に覚えようとせず理解することに努める
- 学習期間が長くなるほど効率は悪くなるのでできる限り短期間で繰り返す
- 理解と記憶の確認は問題集で行う
- 公式テキストは理解に使い、問題を解きながら記憶する
- 誤っている選択肢は理由を説明できるまで繰り返す
実際にウェブ解析士試験で不合格になる人に共通する3つの特徴
時間配分の失敗
問題を読むスピードが遅い
テキストの該当ページを探すのに時間がかかる
見直しの時間が確保できない
テキストの活用ミス
目次を使いこなせていない
付箋やマーカーの使用が不適切
重要な図表の位置を把握していない
基礎概念の理解不足
用語の定義があいまい
解析手法の使い分けが不明確
指標の意味を正確に理解していない
試験当日の理想的な時間配分と注意点
【時間配分の基本】
・前半25問:35分
・後半25問:35分
・見直し:20分
【当日の注意点】
・インターネット回線やコンセントの差し込みの確認などは30分前には終える
・テキストの付箋位置を最終確認
・水分補給はこまめに
・飴やチョコレートなどの糖分を横に置く
・迷った問題はマークしておく
・静かな環境を作ってもらうよう家族に協力を促す
最古の現役ウェブ解析士マスターが語る資格の価値
資格取得を目指す方から最も多い質問が「この資格は本当に役に立つのか」というものです。
13年以上にわたってWebマーケティングの実務をしながらウェブ解析士の講座を開催してきた私の視点から、率直にお答えしていきます。
実務における有用性の本音
【実務で役立つ点】
・データ分析の視点や注意点などの基礎知識が体系的に身につく
・クライアントやチームとの共通言語が持てる
・分析レポートの作成スキルが向上する
・実施すべきWebマーケティングの優先順位が分かる
【あまり期待できない点】
・資格を取得しただけで即戦力になれるわけではない
・実践的なツールの操作スキルは別途必要
・真似するだけで成功するような万能なハウツーが身につくわけではない
上級ウェブ解析士の資格取得のメリットと投資対効果
上級資格取得のメリット
- GA4とGoogleタグマネージャーの設定と専門的な分析手法が習得できる
- 実践的なWebマーケティングの提案書を作成できる
- 特に20代までは上級ウェブ解析士を取得していると未経験でもWebマーケティング業界に転職しやすい
- Webデザイナーなら成果につながる提案を行えるようになる
ただし、以下の点は考慮が必要です。
・受講料が88,000円とやや高額
・取得までに3-6ヶ月程度必要
・実務経験がない場合でも取得できるが少々苦労します。
年収アップにつながるスキルとは
資格取得後の年収アップには、以下のスキルの組み合わせが重要です:
【必須スキル】
・Google Analytics等の解析ツールの実践的活用力
・データビジュアライゼーションのスキル
・ビジネス課題の把握力
【年収アップの実例】
過去に私の上級ウェブ解析士を取得された方の一例をご紹介します。
・上級合格後にWeb制作会社からシステム開発会社に転職され、Webマーケティングの責任者となり年収も100万円以上アップ 。リモートワークで仕事を続けておられます。(40代女性)
・Web制作だけでなく、アクセス解析もサービスとして展開し、売上が倍増されました(30代男性)
※ただし、これらは資格だけでなく、実務経験とスキルの組み合わせによる結果です。
資格を取得されてもその後、何も学ばず、経験も積まなければ年収アップはできません。
たくさんの受験者を見てきた経験から、合格者と不合格者の明確な違いが見えてきました。ここでは、確実に合格するためのポイントをお伝えしました。
合格者が明かすウェブ解析士のキャリアパス
ウェブ解析士の資格を取得した後、どのようなキャリアの可能性が広がるのか。実際の事例を交えてご紹介します。
まず、こちらのデータをご覧ください。

デジタル化の進展によって意思決定をサポートするためのデータが増えており、これまで伝統的に使われてきたデータ(トラディショナルデータ:企業の決算情報、プレスリリース、IR情報、公的統計等)だけではなく、非伝統的なデータ(オルタナティブデータ:POSデータ、位置情報、衛星写真、SNSデータ等)が注目されている。背景には、実世界のデータがデジタル化されるようになったことやAI技術の発展、スピーディーに足元の状況を把握したいといったニーズの高まりがある。
世界のオルタナティブデータの市場規模については、2021年に27億ドルだったものが2030年には50倍の1,433億ドルまで拡大すると見込まれている引用:情報通信白書(総務省)
この情報通信白書のデータを見ても分かる通り、様々なデジタルデータを用いてスピーディーに意識決定していかねばならないという企業ニーズは急速に高まりつつあります。
そのため、ウェブ解析士が携わるデータを用いた売上アップのための施策実現が、これまで以上に重要性が認識されることになると予想されます。
しかし、残念ながら文系が多い日本のWeb業界では人材が足りていません。
だからこそ、今からでもしっかりウェブ解析のスキルを学ぶことはライバルを出し抜く非常に重要な差別化要因になります。
実際の仕事での活用事例
【社内でのキャリアアップ例】
・マーケティング部門への異動
・データ分析専門チームのリーダー就任
・新規プロジェクトのPMとして抜擢
具体例: A社のWeb担当者(32歳)
資格取得前:一般的なサイト更新業務
資格取得後:サイト改善施策の立案から効果測定まで一貫して担当
資格を活かした転職・独立の可能性
【転職での活用】
・Web解析専門コンサルタント
・デジタルマーケティングマネージャー
・アナリティクスエンジニア
【独立の選択肢】
・フリーランスアナリスト
・Web解析コンサルタント
・オンラインスクール講師
総括:ウェブ解析士の難易度と合格への現実的なアプローチ
合格に向けた3つのポイント
- 学習スタイルに合わせた勉強方法の選択
- 計画的な学習時間の確保
- テキストを使いこなす技術の習得
ウェブ解析士の資格取得は、決して難しいものではありません。大切なのは、自分に合った学習方法を選び、計画的に準備を進めることです。
資格取得後も、実務での経験を積み重ねることで、さらなるキャリアの可能性が広がっていきます。
ぜひ頑張ってみてください。