Googleアナリティクス (not set)と(not provided)とは

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ホームページを制作した後、
Googleアナリティクスをつかって解析し、
原因を分析、対策を講じようとすると、
目の前に立ちはだかるカベがある。

それが、 (not set)と(not provided)だ。

しかも、リスティングや流入など重要なレポートのデータの解析の時にだけ目につくのかとおもいきや、
他にも様々なメニューを確認するとチラホラと現れて、
ウェブ解析の担当者やウェブ担当者の頭を悩ませる。

これらの (not set)と(not provided)に気を取られすぎて、
解析に手間取ってはいないだろうか?
あまりに気を取られすぎていると全体の解析を行うという視点を見失うことにもなりかねない。

(not set)と(not provided)は注意すべきは注意し、対策を取る。
そうでない点は無視するのが良い。

以下、説明していこう。

(not set)について

(not set)とは

そもそもGoogleアナリティクスでアクセス解析のデータを見ていると、
ところどころ出没してくる(not set) これは一体何か?

Googleアナリティクスのヘルプでは以下のように記されている。


(not set)
選択したディメンションについて情報が得られていないときに、
アナリティクスが使用するプレースホルダ名
参考:https://support.google.com/analytics/answer/2820717?hl=ja

意味わかりませんね(笑)

これを分かりやすく定義すると、以下のとおりです。

(not set)
Googleアナリティクスでは、ユーザーの行動データ、流入データを
できるかぎり収集しようとしたけど無理でした。
ごめんなさい。わからないものはちゃんと、分からなかったと記すために、
(not set)と書いておきますね。

要は、Googleが取りたくても取れなかったデータと記憶しておこう。

Googleがデータを取れないという事態が発生する原因は様々だが、一言で説明すると、
『googleとシステム間でデータが引き継げていない』ということになる。

(not set)はどの項目に?

では、実際にどの項目で(not set)が発生しているか見ていくが、
(not set)には解析を行う際に注意すべきものと、特に注意しなくてもよいものがある。

解析の時に注意すべき(not set)必須の2点

 

集客>すべてのトラフィック>チャネル(2013年7月24日以前)

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          ↓

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2013年7月24日以前は、『リダイレクト』(※ある特定のページに流入したユーザーを強制的に別のページに飛ばす設定をしていた場合)は、ユーザー側のブラウザによっては、参照元のデータが引き継げない、ということが発生すると、(not set)となっていた。

また、Googleが検索エンジンと認識している検索システム以外からの流入なども含まれていた。

もう一度見てみよう。
『集客』→『すべてのトラフィック』→『参照元/メディア』の中で、
『●●/Organic』となっているものは、検索エンジンとして認識されている。

今は、biglobeなどのプロバイダーの検索エンジンとして認識されているが、
(not set)が多く出ていたのは、このようなどちらかと言えば、マイナーなものだった。

しかし、今は、(not set)ではなくなったといのことは、
googleが認識を改めたということである。

あまり例として少ないかもしれないが、
もし、(not set)が多くて出ている場合は、以下を確認しよう。
『集客』→『すべてのトラフィック』→『参照元/メディア』の『参照元』をチェックする。

Organicであるはずのものが混ざっている場合は、
『管理』→『プロパティ』→『トラッキング情報』→『オーガニック検索ソース』の部分で、
検索エンジンを追加しよう。

2015年7月3日現在、リダイレクトは『Organic Search』や『direct』などに分類されている。
そのため、ずっと以前に制作したホームページを改善するため、
Googleアナリティクスの古いデータと比較する際は、
2013年7月24日という転換点を意識しながら解析しないと、間違った解釈をしてしまう可能性がある。

リスティング運用 (集客>AdWords)

意外と多いのがこの部分である。
AdWords広告を出稿すると、AdWordsアカウント経由のトラフィックデータは自動で引き継がれているが、GoogleアナリティクスとAdWordsをリンクする設定を行っていないと、キーワードのデータなどは(not set)となってしまう。

また、レアケースではあるが、リンク設定を行っていたとしても、ウェブサイトによっては任意の URLパラメータを許可しないという場合がある。

その場合、AdWordsのタグの設定『gclid』をつかっているとデータが上手く引き継げず、
(not set)にまとめられてしまう場合がある。

以上2点は十分気をつけよう。

解析の時に特に注意しなくてもよい(not set)

ユーザー>ユーザーの環境>ブラウザとOS

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数としては、全体の0.02%ですので、気にしなくてよいレベルである。
            

ユーザー>ユーザーの環境>ブラウザとOS>画面の解像度

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こちらも数としては、全体の0.46%程度であることが分かる。

ユーザー>地域>地域

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こちらも数としては、全体の0.1%程度

ユーザー>地域>言語

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こちらも数としては、全体の0.38%程度

ユーザー>モバイル>デバイス

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こちらは数としては4%弱あり、比較的多い数値となっている。

端末が判明しなかったということであろうが、具体的な種類はわからない。
しかし、セカンダリディメンションでオペレーティングシステムを見ると、
Androidとなっているので、iPhoneとWindowsフォン以外であることまでは分かる。

       

(not set)の対策

結論から言えば、実数がとても少ない場合は、
たいていは無視してかまわない。

ただ、リスティング広告(AdWords)の場合は、正しい設定さえ剃ればデータがレポートに反映とれるため、しっかり設定を行っておこう。

自動タグ設定ではデータがレポートに反映されない場合が散見される場合は、
自動タグを使用せず、手動でタグを設定することでデータを取れるようにしよう。

(not provided)について

(not provided)とは

(not provided)を見かけるのは、『オーガニック検索キーワード』の項目である。
これはどういう意味か。

(not provided)
Googleではユーザーが検索する際に入力したキーワードのデータを
集めることはできております。
しかし、いろいろな事情のため、それをお見せすることができません。
あしからずご了承ください。
見せることができないところは、(not provided)と書いておきますね。

という意味にになる。

(not provided)の原因

2013年8月までは、ごくふつうにオーガニック検索キーワードをみることができていた。

ところが、2013年9月Googleが検索結果をSSL通信、いわゆる暗号化に切り替えてしまった。
その背景は、とくにEUの方での個人情報への規制が原因といわれているが、定かではない。

googleとYahoo!Japanの(not provided)の状況

暗号化されているのは、検索している時のURLを確認すればよくわかるが、
下図のように『https://』となっている。
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現在、Yahoo!Japanからの流入は、下図のようにまだ暗号化されていない。
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そのため、まだ当面、検索キーワードの取得から解析はできると考えられているが、
余談をゆるさない。

~2016年12月追記~
Yahoo!JapanもSSL化が開始されております。

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現状、Yahoo!からの流入はキーワードが取れているが、
徐々に検索キーワードの取得ができなくなっている。

その結果、(not provided)が増えつつある。

以下、参照ください。
yahoo!の(not provided)の割合が16%を超えている。

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さらに、よく見てみよう。
bingも(not provided)の割合が高まっているのがわかる。

今後は、検索エンジンからの検索キーワードは取得できない、
つまり(not provided)になることを前提にWebマーケティングを行う必要がある。

アメリカの(not provided)の状況

なぜなら、アメリカのYahoo!ではすでに暗号化されているからだ。
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ただ、面白いデータがある。
100%(not provided)になる予測日が具体的に2018年7月9日となっている。
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http://www.notprovidedcount.com/

実際にこのようになるかは分からないが、興味深い数値である。
また、ある時を境に(not provided)が急上昇しているが、これは2013年8-9月である。

(not provided)はどの項目に?

(not provided)は以下の項目で確認できる。

集客>キャンペーン>オーガニック検索キーワード

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半数近くが(not provided)となってしまっている。

検索ユーザーのプライバシーの保護が目的とされているが、
たしかにその目的は達成されている。

しかし半面として、ホームページの制作に携わる者や、
実際にホームページを運営し、改善のため解析を行う者としては致命的でもある。

ユーザーが来訪するときに入力する検索キーワードは、
『意図』が含まれているため、そのキーワードを解析して、ホームページの制作や改善の対策を立てられる。

対策を立てるというのは、ホームページを制作する者も、運営する者も共に、
『ユーザーにとって役立つ情報』『ユーザーが欲しい情報』は何かを考えて発信することができるということである。

そのため、何らかの形で検索キーワードを取得して、改善⇒制作に結びつける対策を考えねばならない。          

(not provided)の対策

結論から言えば、『サーチコンソール(旧: ウェブマスターツール)』を利用することで、ある程度、カバーすることができる。

項目は、以下のとおりである。

集客>検索エンジン最適化>検索クエリ

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ここに出てくるキーワードは、『検索クエリ』と表記されており、
オーガニック検索キーワードとは少々意味合いが違ってくる。

検索クエリ・・
ユーザーが検索し、ホームページに流入した際のキーワード
または
検索を行い、検索結果に表示されたが、流入までいたらなかったキーワード

検索クエリ・・
Googleアナリティクスの検索エンジン最適化(SEO)レポートでは、Google ウェブ検索の結果ページでお客様のサイトの URL を返した検索クエリに関するデータが提供されます。
参考
https://support.google.com/analytics/answer/1308617?hl=ja

※以上から考えると、前提は『Googleでの検索』となる。
       
オーガニック検索キーワード・・
Yahoo!やGoogleなどの自然検索でユーザーが検索して流入した際のキーワード

以上の『表示回数』『クリック数』『平均掲載順位』『CTR(クリック率)』が表示される。

このデータを元に、

『流入につながっているキーワードと
検索されているが流入まだ至っていないキーワード』

『表示回数は多いのにクリックされているキーワードと、
表示回数は少ないのにクリックされていないキーワードの違い』

以上を確認しながら改善、対策につなげていく。

なお、これらのデータを閲覧にするには『サーチコンソール(旧: ウェブマスターツール)』との連携が必須となる。
参考にサーチコンソール(旧: ウェブマスターツール)では、どのように見られるかを記しておく。

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まとめ

(not set)は、きちんと設定すれば取れるデータも多く、まずはしっかり設定すべきである。
ただ、広告を利用しない場合、数はごく少数のため、無視しても構わないレベルのものであれば、あっさりと無視しよう。

(not provided)は、googleが提供しないと決めたデータのため、どうしようもない。
そのため、他に与えられているサーチコンソール(旧: ウェブマスターツール)を活用して、できるかぎりユーザーの意図を把握するように努めよう。

なお、今後は、制作に携わる者は、ホームページ制作の会社だけでなく、
会社内での制作、運営担当者もしっかりと根拠を持って提案していけるようになることが重要である。

制作の起点はユーザー満足にある。

そのため、特に制作に関わるものはキーワードをどうすべきか考えよう。

以上。

Googleアナリティクスをゼロから学びたい方はこちら↓
Googleアナリティクスの使い方 [実戦マニュアル]