Web×孫子の兵法の6回目となる今回は、
Webマーケティング(リスティング広告やSEO、Webサイト制作)の前に考えるべきこと『始計編(全7節)』の
第6節 兵は詭道なり を検討します。
~第6節 兵は詭道なり ~
ライバルには戦略を隠し、悟らせないようにする。
逆に知られていない差別的優位点を活かしたマーケティングを仕掛ける際は、
あえて今後の戦略を公表しライバルに追随させ疲弊させる。
Webに慣れた顧客に対しては、真意は買って欲しくとも、
それは表に出さず、余裕を装う。
ユーザーにはまるで自発的意思で、購入しているように感じさせながら、
そう誘導するようにサイトの構成を考える。
これがマーケティング戦争で勝ち抜く秘訣であるが、
一概にこうすれば絶対大丈夫というものでもない。
そのため、市場と自社の情況に応じた臨機応変の対応が必要となる。
市場に向けて、今後の戦略は○○である、と語るなど論外です。
例えば、アメリカでYahoo!がBingと組んだ際、
日本ではYahoo!JapanもBingと組むと予想されていたが、
フタを明けてみるとGoogleと組みました。
これもソフトバンクの孫社長が、社外にその情報が漏れないよう、
しっかりと封鎖したためです。
また、市場で人気の出た商品は真似をされることがよくあるが、
それを逆手に取って、あえて戦略を公表するやり方もあります。
例えば、あるネットショップでは、沖縄や離島も含めた全国一律、
送料無料にすることに成功しました。
通常、沖縄や離島は航空便になるため、割高になるが、
そこのお店は難なくできました。
なぜか??
実は、ある団体に所属している会社だけが取引できる特別な配送業者との契約を結び、かつ、一定個数を発送できるなら、価格を1/3まで落とすことに成功したためです。
他社もそれに追随してきたが、間違いなく赤字を出しているでしょう。
マーケティング戦争とは、一定のルールに基づいた真剣勝負なのだから、
他社が負けないようにその戦略を阻止しようとしてくることは容易に考えられます。
そのため、ライバルの妨害は織り込み済みで
こちらも対応しなければなりません。
他にも、Webに慣れたユーザーに、商品やサービスを買って欲しい時には、
あえて売り込まず役立つ情報を発信しながら、
まずはサイトに訪問する敷居を下げ、信頼感を少しずつ高め、
何度か連絡をやりとりする中で信頼を勝ち取った後、
やんわりと商品をオススメする、など工夫をしないといけません。
例えば、私の知人が経験したことですが、
ある士業の先生のメルマガを購読し、
参考になったので、お礼メールを送ると、
それから毎日、会えないかと電話がかかって来たそうです。
結局、その方は、不快に感じ、メルマガを解約することになりました。
この場合など、せっかく購読者の信頼を勝ち得て、
ファンになる直前だったにも関わらず、
売りたいという気持ちが先行しすぎてしまい、
勇み足になってしまった悪い例です。
さらに、サイトに訪問したユーザーに迷わせず、
欲しい品を見つけられるようなサイトの構造を作ることで、
自然と本当に必要な品を購入してもらうなどの工夫も必要となります。
例えば、ネットショップ等の場合は、
ユーザーのニーズに合わせたコンテンツの設計と、
購入完了ボタン直前でのおすすめ商品の提示などは、
その典型例だが、できているネットショップは少ない。
しかし、ここで説明した全てのことは、
事前に『こうすればOK』というようなものでもないということは、
お分かりいただけるはずです。。
会社のキャッシュ・フローや、社内の製造・販売体制の状況、
競合の数やサイトの完成度、市場の商品・サービスの認知度など、
様々な市場環境とその変化に応じて臨機応変な対応をとる必要があります。
慣れてくれば、頭の中で自然と回路がつながり、
情況を判断して、次に何をすべきかがパッと分かるようになりますが、
一長一短に身につくものでもありません。
そこは、痛い思いをしながら、ご自身で学ぶ他ありません。
だから、経験が重要になるのです。
本日は以上です。
孫子の兵法は、以下の十三編から成り立っております。
『始計編』『作戦編』『謀攻編』『軍形編』
『兵勢編』『虚実編』『軍争編』『九変編』
『行軍編』『地形編』『九地編』『火攻編』『用間編』
私なりの視点で、Webマーケティングの観点から
今後も孫子の兵法を1つずつ紐解いていきます。